「貯金」礼賛ブームのまやかし…「楽しい人生」喪失の愚かさ、節約せずお金が貯まる法則
あるいは、ガソリン代がもったいないからといってマイカーに乗るのを控える。電気代がもったいないからといってエアコンを使うのを控える。高かった毛皮のコートが汚れるのがいやだからとクローゼットの中にしまっておく。
確かにそういう判断もあるかもしれません。しかし冷静に考えてみると、乗らない車、使わないエアコン、着ないコートの存在価値とはなんでしょうか。
それに、お金を貯めようと節約貯金をすることは、今使えるお金を少なくする行為です。つまりそれは、結果として自分ができることの幅や深さをわざわざスケールダウンさせることと同じ。
「お金がもったいないから本を買わない」「お金がもったいないから勉強会に行かない」「お金がもったいないから旅行にも行かない」という生活を続ければ、確かにお金は貯まる。しかし、その結果として、いったいどれほど魅力的な人物となるか。自分が生きた証しを後世に残せる人材となれるのか。たくさんのお金を持っていれば「お金持ち」なのかもしれませんが、ただお金を貯めこんでいるだけであれば、単なる「貯金持ち」にすぎません。
もちろん「なんでもかんでも使い切ってしまえばいい」などと極端なことを言っているわけではなく、たとえば家を買う、車を買う、子どもの進学など目的がある場合は、その分のお金を確保しておく必要があります。あるいは転職やリストラの可能性に備え、当面の生活費としての貯金は必要です。つまり、ある程度の貯蓄は前述のとおり「保険」としての役割があります。
しかし、特に予定も目的もなく金額に根拠もなく、ただせっせとお金を貯めるだけだとしたら、それはもったいない。なぜなら、お金を使えばもっと人生が豊かに、そして楽しくなるからです。同時に、自分の可能性を広げてくれる効果があります。
節約貯金をしなくても自然にお金が貯まる
私の例で恐縮ですが、私は必ず毎年ひとつは新しい挑戦をして、毎年ひとつは新しい商品・サービスをリリースする、という目標を掲げています。その過程において、新たな経験が過去の経験と組み合わさり、書籍やコラム、他のビジネスなどのネタを生む原動力になっています。
たとえば、私がマレーシアで不動産を買った経験を出版社の編集者に話したところ、「それを本にしませんか」ということで『日本脱出』(あさ出版)を出版したところ、ベストセラーとなりました。さらにアメリカやカンボジアでも投資を始め、その内容も書籍となりました。そしてこれらをセミナーや講演で話したり、顧客を現地の不動産会社に紹介したりというビジネスにも発展しました。