「貯金」礼賛ブームのまやかし…「楽しい人生」喪失の愚かさ、節約せずお金が貯まる法則
ほかにも、自分でFXや商品先物取引をしていると、その経験が蓄積されてノウハウとなり、本になる。生活コストの削減にゴリゴリと取り組んだらネタが増え、それがコラムになる。保険による節税も、確定拠出年金や小規模企業共済による老後資金の貯蓄も、クレジットカード・電子マネーカードの活用法も、太陽光発電も、健康法も、子どもの教育も、賃貸併用住宅も、お金と時間をかけて自分でやってみたからこそ、オリジナルのコンテンツが蓄積され、書籍としてお金をいただける商品になった。その結果、講演や雑誌の取材といった依頼も増えて収入源が多様化し、さまざまなパーティーやイベントに呼ばれるようになって、人との出会いも広がりました。
こうして現在、私の家庭の収入源は約15種類まで増え、個人法人合わせた世帯年収は5,000万円を超えました。経費はほとんどかからず、どれかが減ってもどれかが支えてくれますから、一般的には不安定とされる自営業でも、リスクの分散と収入の安定化につながっています。
「お前は本を出せるからだろう。ほかの人には参考にならない」という反論があるかもしれません。しかしこれは、私がビジネス書作家としての立場を持っているからできることだ、なんていう短絡的な話ではありません。私の周りでも同じような人はたくさんいます。
たとえば子どもの留学体験をブログにつづったところ、質問や問い合わせがたくさん来て、留学斡旋ビジネスを始めた専業主婦。子どものおもちゃを買っては、それで遊んでいる子どもの動画をYouTubeにアップし続けたところ、おもちゃメーカーから協賛の話が来て広告収入となったイクメンパパ。自分でログハウスを建てた経験を活かしてログハウス勉強会を立ち上げ、コンサルティングビジネスを始めた人、最新ITガジェットを使いこなし、それらの効率的な使用方法を電子書籍で販売している人などなど、経験を積めば積むほどノウハウが蓄積され、お金に換える道が開けてきます。
子どもの留学にはお金がかかります。子どもにおもちゃを買い与えることにもお金がかかる。ログハウスを建てるにも、ガジェットを買うにもお金がかかる。しかしだからこそ、彼らの新しい収入源につながり、彼らの人生を変えた。その結果、どんどんお金が流れ込んでくるようになれば、節約貯金をしなくても、自然にお金が貯まる。お金を使うことを恐れなくなる、という循環ができます。
「アリとキリギリス」
「アリとキリギリス」というイソップ寓話は、多くの人が一度は耳にしたことがあると思います。要約すると、夏の間アリたちは冬の食料を蓄えるために働き続け、キリギリスはバイオリンを弾き、歌を歌って過ごす。やがて冬が来て、キリギリスは食べ物を探すが見つからず、最後にアリたちに乞い、食べ物を分けてもらおうとするが、アリは「夏には歌っていたんだから、冬には踊ったらどうだい?」と食べ物を分けることを拒否し、キリギリスは飢え死にしてしまったという話です。
そして一般的には「コツコツ働くことが大事」「いざというときに備えて貯蓄しよう」という教訓が語られます。
しかし、この話には第二幕があります。それは、「お金がなくなったキリギリスは、コンサートを開いて歌やバイオリンを披露した。するとアリたちが食べ物を持ってコンサートに集まってきた」という話。つまり、キリギリスは歌とバイオリンの技術を持っていて、それは商品価値を持っていたのです。そうやって自分の才能を磨けば、どんな状況でも稼げる力をつけることができるし、どんな時代でも乗り越えていけるという自信につながります。
つまり、自己投資こそもっとも高いパフォーマンスをもたらしてくれる行為。だから私は、不動産や外貨などへの投資をしつつも、「自己投資こそ最強の投資対象である」と考えています。
そんな「自分の才能を開花させる方法」について解説したのが、最新刊『33歳で資産3億つくった僕が43歳であえて貯金ゼロにした理由』(日本経済新聞出版社)です。興味を持たれた方は、ぜひ手にとっていただけると幸いです。
(文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役)