人事評価、なぜ「自分は報われていない」と感じる?評価=勘違いの塊、一喜一憂は無駄
会社員として会社生活を続けていると、実に理不尽だとか不公平だという思いに駆られることが往々にしてあります。「自分の努力や成果が自分の評価に報いられていない」「自分は評価の面で“割を食っている”」と感じたことがない、などという人は恐らく会社員のなかにはほとんどいないでしょう。どうやらその最大の原因は「人事評価」という仕組みそのものが持っているさまざまなバイアスにありそうです。
人事はいわば“勘違いの塊(かたまり)”といって良いでしょう。評価するほうもされるほうも、そこには多くの「勘違い」が存在しています。
4つのバイアス
まず初めに、評価するほうの勘違い=バイアスから考えてみましょう。
人事評価にはいくつものバイアスがあるといわれています。わりとよく知られているのが、以下の4つです。
(1)中央化効果
(2)寛大化・厳格化傾向
(3)ハロー効果
(4)自己投影効果
(1)中央化効果というのは、5段階評価の場合でいえば真ん中の3に評価の傾向が集中することをいいます。
(2)は人によって異なりますが、寛大化とは実際よりも評価が甘くなりがちなことで、評価する人が業務のことをあまりよく知らなかったり、部下に良く思われたりしたいときにこういう傾向が出てきます。逆に厳格化傾向は、実際よりも低めに評価してしまうことで、評価するその人が業務内容に精通しており、評価者自身の能力が高く、自分を基準にして評価してしまうというケースです。これは実に迷惑この上ない評価です。
(3)もありがちで、有名大学を卒業したとか、今までの会社での業績が良かったりする場合、現在の仕事の成果があまり高くなくても、評価を高めにつけてしまうという傾向です。
いかがですか?
みなさんが会社員だとしたら、自分の部下の人事評定を行ったときに、こういう傾向を感じたことが少なからずあったのではありませんか?
自己投影効果
これらはまだ良いのですが、一番やっかいなのが(4)自己投影効果です。
自己投影というのは心理学の用語でさまざまな使われ方をしていますが、人事評価の場合は一般的に、「自分と考えや行動が似ている人間は高く評価するが、そうではない人間には低い評価をつける」というものです。よく「人事は好き嫌いで行われる」といわれますが、それがあながちデタラメとは言えないのも、この自己投影効果が少なからずあるからでしょう。何しろ人間が評価することですから、完全にはこれらのバイアスから逃れることは難しいと思います。