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金融庁という思わぬ刺客
しかし、金融機関が売りやすい商品は、半面で顧客にとってはマイナスもある。毎月分配型は目先の利益優先のため、森氏が目指す資産形成には不向きな商品だ。
森氏が長官に就任して以降、金融庁は顧客本位ではない金融商品に対して厳しいメスを入れてきた。この方針により、REITの人気は減速。毎月分配型のREITに至っては、数年前の隆盛が嘘のように資金流出が続き、REIT市場からの資金流出に歯止めがかかる兆しは見えない。
「大阪や名古屋といった都市圏でも、不動産関連は動きが鈍くなっている」と、ある不動産会社社員は悲観する。地方では、早くも不動産マネーの引き上げが始まっているのだ。それでも、「東京五輪までは東京の不動産需要は安泰」(同)ということだが、「五輪以降は、東京でも苦しくなる可能性は高い」といった将来を不安視する声は不動産業界で根強い。
REITからの資金流出が止まらない状況に、不動産業界から悲鳴が上がるのは当然だろう。だが、その負の影響は不動産業界だけにとどまらない。なぜなら、REIT下落により都市開発の動きは鈍化するからだ。
都市開発と密接な関係にあったホテル・宿泊業、そして観光関連の事業者たちもREIT沈滞ムードを安穏として見ていられる状況にはない。特に、これまでの国内の観光業界は開発ありきの上に成り立っていた。
金融庁という思わぬ刺客によって、急ブレーキがかかったREIT市場と不動産業界。その煽りを受けた観光業界。このままREITからの資金流出が好転する兆しを見せなければ、開発に大きく依存していた日本の観光業界は体質転換が求められることになりそうだ。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)
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