――不動産投資初心者が融資を受けるために、金融機関側にどういったアピールをするのが有効なのでしょうか。
天野 アパートローンについていえば、「不動産の賃貸事業にこれから参入したい」という意思と「お客様に賃貸住宅を提供していきたい」という事業内容はもちろんですが、「資産形成をしていく意思」も伝えることが大事です。
なぜかというと、「資産形成をしていく意思」は「お金を儲けても無駄づかいはしませんよ」というアピールになりますし、「長期的なビジョンを持って事業をやっていこう」と思っていることが伝わるからです。すると、相手も「そういうことであれば、後押ししましょう」となりやすい。
日本ほど金融機関が優しい国はない?
――初心者向けではないですが、プロパーローンを申請するときのアピールポイントについても教えていただけますか?
天野 こちらは、先ほども申し上げた通り、金融機関は焦げつきが怖いわけですから、「自分の事業はいかにリスクが少ないか」「必ず返せる」という点をアピールすることに尽きます。さらにいえば、「利益が出たら預金もします」ということも伝えておくと、金融機関の目線で見ればメリットに映りますよね。
――融資の受けやすさというのは、その時々の経済の状況によっても変わってきます。今は借りやすい時期なのでしょうか。
天野 結論から言えば、借りやすいです。最近、よく「借りにくくなった」という話が出るのですが、それはあくまで「去年と比べて借りにくくなった」ということです。
どこを対象にするかで話が変わってくるわけで、少なくとも私が不動産事業に参入した10年前と比べると、今の借りやすさは尋常じゃないです。不動産ビジネスの勉強を数カ月やっただけの人間が金融機関に行って融資を受けられるなんて、当時はあり得ませんでしたから。
付け加えるなら、海外と比べても日本の融資の受けやすさは際立っています。私は130カ国ほど見て歩いて、各地の金融機関や企業のあり方を調べたのですが、日本のように金利1%や2%、高くても4.5%ほどで不動産事業のための融資を受けられる国なんて、はっきりいって存在しません。
海外では金利8%、10%というケースも多く存在します。「それくらい返せるような利益を出せないのなら、不動産事業をやる資格はない」というのが世界の標準です。「フルローンで物件を買いたい」なんて言ったら、「お金もないのに事業をやろうなんて、100年早い」と追い返されますよ。
そういうわけで、日本ほど金融機関が優しい国はないので、ちょっと断られたくらいで落ち込まずに粘り強くやっていただきたいですね。