消費税引き上げ後には反動減が発生する
このほか、住宅ローンを利用して買った場合にはローン減税があります。年収が低く、ローンの利用額がさほどではないとローン減税額が少ないので、このすまい給付金が創設されたわけですが、すまい給付金の対象にならない年収775万円超の比較的年収の高い層は、ローン減税額が年間20万円、30万円と大きくなります。この減税が10年間続きますから、消費税増税による負担増は気にする必要はありません。多くの場合、負担増加分以上の控除額になるはずです。
ですから、年収500万円前後の中堅層や比較的年収の高い層は、不動産会社や住宅メーカーなどの駆け込み需要への誘導に踊らされることはないのです。もっといえば、むしろここはジッとガマンして、消費税引き上げまで待つという手もありでしょう。
というのも、消費税引き上げ前にはメーカーや不動産会社主導の駆け込み需要が大量に発生し、その後は必然的に反動減が起こる可能性が高いからです。本来なら1年先、2年先に予定していた人たちが早めに買ってしまうのですから、その後は需要が減少するのも当然のことです。
事実、14年の消費税5%から8%への引き上げ時には、たいへんな反動減が発生しました。 図表2をご覧ください。
国土交通省の「建築着工統計調査」によると、消費税引き上げ前の13年の年間新設住宅着工戸数は約98万戸。それまでの80万戸台から駆け込み需要で大きくジャンプアップしました。しかし、消費税引き上げのあった14年には約89万戸台に減少し、引上げ前の90万戸台後半に戻るまでに2年の期間を要しています。
駆け込み需要の誘導に踊らされることはない
そのとき何が起こるのか――間違いなく価格は下がります。大手はかなりガマンして、表面的には値引きを隠し、水面下での値下げにとどまるかもしれませんが、中堅以下ではそうもいかずに、値引き競争が始まります。そうなると大手も負けてはいられないので、業界挙げての本格的な値引き合戦にならざるを得ません。
先にみたように、特に中堅層以上の人であれば、増税分はすまい給付金やローン減税でカバーできる可能性が高いのですから、住宅取得に限っていえば、消費税増税は怖くありません。もちろん、他のさまざまな商品の値段が上がって、経済の減速要因になり、それによって生活に影響が出てくるかもしれませんが、それはまた別の問題です。