しかし、背景はどうあれ、個人投資家にとってはお得な金融商品であることには変わりない。発行が決まれば、各証券会社のホームページで発表されるので、定期的なチェックを心がけたい。
満期年数が長い社債は避けるべし
最後に、個人向け社債の購入に当たっての注意点を述べておこう。
社債に関して、元本保証がされていると言う人がいるが、それは間違い。発行元の企業が破たんすると、元本は返ってこない可能性がある。国内でも、過去1例だけ、元本の一部分しか返還されなかったケースがある。
もう1つは期間の問題だ。満期の年数が長い社債は避けたほうがよい。例えば、いま購入することができる個人向け社債に、「三菱UFJ信託銀行 第11回無担保社債」というのがある。満期までの期間は10年、利率は1.36%、購入単位は100万円からとなっている。個人投資家への売れ行きは悪くないようだが、満期が10年というのは長すぎると思われる。
社債はいったん購入してしまうと、満期まで持ち続けることが原則となる。途中売却は不可能ではないが、売却には手数料などがかかり、手数料の金額や売却のタイミング次第では損失が発生することも少なくない。
満期までの保有を前提とすると、保有期間中に金利が上昇しても、社債の利率は変わらないため、金利上昇の恩恵は受けられない。持っている間に銀行の定期預金の金利が社債よりも高くなってしまった、なんていうことも起こりえるのだ。そして、満期が長い社債は、その可能性が高くなるのである。
いつ金利が上昇するのかは誰にもわからないが、4〜5年後には上昇している可能性が高い、と想定しておくほうが無難だろう。そうであるならば、個人向け社債も満期が3年ぐらいまでのものがお薦めとなる。
各証券会社では、社債の発行に関する情報が掲載され、随時更新されている。SBI債、マネックス債以外にも、掘り出し物があるかもしれない。
(文=松岡賢治/フィナンシャル・プランナー)