テレビ番組数、50年で半減〜予算低下&番組数減が、テレビの新たな可能性を切り開く?
さまざまなテレビ番組や雑誌などでもお馴染みの購買/調達コンサルタント・坂口孝則。いま、大手中小問わず企業から引く手あまたのコスト削減のプロが、アイドル、牛丼から最新の企業動向まで、硬軟問わずあの「儲けのカラクリ」を暴露! そこにはある共通点が見えてくる!?
●テレビは死んだのか?
テレビが死んだといわれている。
単に影響力低下という意味か、あるいは広告収入低下という意味か、それとも視聴率低下という意味かわからないけれど、そう語る人は多い。私はテレビが終わったとは思っていないし、終わることはないだろう。
規模やコストは徐々に低下するかもしれないけれど、ワールドカップの視聴率が50%を超える現状を見るにつけ、まだ私たちはテレビを必要としている。それに、当サイトでも上位ネタはテレビと無関係ではないし、芸能人ネタで埋め尽くされている。
さて、私は先ほど「徐々に」と表現した。確かに、今でもテレビの存在感は大きいものの、その絶対性が陰っているのも事実だ。前日のテレビ番組が、職場の話題になるケースはあまりなくなったし、おそらく学校でもクラスの話題になる機会も減っただろう。
私は、今ジレンマがあるように感じる。
視聴者がさまざまなメディアやデバイスに触れられる(テレビ・ラジオ・雑誌・書籍・新聞・パソコン・スマホ・タブレット・ガラケー)時代とは、視聴者が「せっかち」になる時代でもある。ということは、例えばテレビであれば、番組が「つまらない」と思えば、すぐさまそこから逃げていく。
しかし、テレビ局は番組制作コスト削減もあって、番組数を増やすわけにはいかない。昔ならまだしも、今では番組経費を極限にまで抑える(と出演している側の私もそう感じる)。できれば、低コスト・高視聴率の2時間もの番組を制作できれば最高だ。しかし、なかなかそううまくいくはずもなく、視聴者とテレビ制作側とのギャップが徐々に広がっていく。
番組は多様にせねばならないのに、むしろ予算低下の時代にあっては、番組が絞られていくのではないか。それがさらに視聴者離れを少しずつ招いていく。
●テレビ番組数の劇的な減少
この仮説が正しいか、調べてみた。
6月10日の「時の記念日」に合わせて、時代をタイムスリップしてテレビ番組の推移を追ってみた(ところで、「時の記念日」6月10日を選択したのは半ば冗談であるものの、一つのサンプルとしてご覧いただきたい)。日にちを特定し、現在から50年前までのテレビ欄をチェックしてみた。
これは、19時から22時始まり(23時終わり)のいわゆる「ゴールデンタイム」帯の東京キー局の番組数を調べたものだ。そこで、番組種類を次の通り分類してみた。
・ドラマ
・ニュース
・クイズ
・バラエティ
・アニメ
・映画
・情報
・歌
・スポーツ
2013年6月10日は、
・ドラマ:3番組
・ニュース:1番組
・クイズ:1番組
・バラエティ:4番組
・アニメ:0番組
・映画:1番組
・情報:6番組
・歌:0番組
・スポーツ:0番組
の16番組だった。
驚くのは、これに比較すること50年前、1963年6月10日の番組構成だ。
・ドラマ:10番組
・ニュース:2番組
・クイズ:0番組
・バラエティ:1番組
・アニメ:4番組
・映画:1番組
・情報:7番組
・歌:2番組
・スポーツ:3番組
と、実に30もの番組がゴールデンタイムに放映されていた。30分番組が多いとはいえ、ドラマがキー局合計で10番組も放映されているのは瞠目する。ちなみに、ドラマでいえば、83年には8本に減り、93年、2003年には4本になり、先ほど掲示した通り13年には3本に減る。