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ダマされないための「儲けのカラクリ」 第19回

テレビ番組数、50年で半減〜予算低下&番組数減が、テレビの新たな可能性を切り開く?

文=坂口孝則/未来調達研究所取締役

 ところで、そのドラマに対比するかのように、1963年に0番組だったバラエティは、その後に伸び続け、4番組になった。番組数推移から、俳優とお笑い芸人の需要と供給、そして俳優とお笑い芸人の世間的認知度、さらにギャラなどを比較してみれば、一つの戦後文化史的研究にすらなるだろう。

 話を戻そう。私は「番組は多様にせねばならないのに、むしろ予算低下の時代にあっては、番組が絞られていくのではないか」と書いた。その仮説通り、番組数だけを並べてみても、

 ・1963年:30本
 ・1973年:24本
 ・1983年:23本
 ・1993年:20本
 ・2003年:20本
 ・2013年:16本

となり、ほぼ50年前の半減に至ったようだ。

 キー局のみ、かつ、定点観測とはいえ、ゴールデンタイムの番組数は昔ほど多かったと聞けば、私はなんとなく合点がいく。今よりむしろ、過去のほうがテレビは多様な番組を提供できていたとすらいえるかもしれない。

 限られたコストの中で、少ない番組数によって、多くの時間を埋める……これは現代の効率化というべきか。それは視聴者ニーズとはズレる可能性があるものの、番組数は現代のテレビ業界を示す数字でもある。

 と、ここまでが一般読者向けの原稿である。

●テレビのユーウツは私たちのユーウツなのか

 ここからメディアに登場する側としての意見を述べる。テレビは「限られたコストの中で、少ない番組数によって、多くの時間を埋める」ようになったと書いた。しかしとはいえ、この予算減少が、私のような低価格文化人に登場の場を与えてもいるので、これまた複雑ではある(笑)。

 ちょっと話は違うかもしれないけれど、ネット記事の予算も低下し、書き手が玉石混交の中、これまでならばチャンスのなかった若手にも機会が与えられている。ブラック企業ネタでビューを稼ぐ当サイト編集部の連日連夜にわたる激務ぶりを見ると、ワタミ以上にブラックだと思えるのだけれど(失礼)、しかし、同社カルチャーの中で新たな書き手が登場しているのも事実だ。これまで閉じていた門戸が、低予算化ゆえに開かれた。不遜な書き方ではあるものの、考え方によっては好機にすらなる。

 テレビが死ぬのか、あるいはメディアが死ぬのかはわからない。実際に予算が減り、そしてテレビでいえば番組数が減っているのは事実だ。しかし、この事実をただ憂うだけではなく、むしろ活用するとすれば、私たちは何ができるだろうか。

 低予算化や効率化が、これまでになかった担い手を要求する。それはおそらく、専門家よりもジェネラリストであると私は思う。各領域を100%知らないものの、70%ずつ各領域に首を突っ込める人材。

 きっとそこに需要があるに違いない。
(文=坂口孝則/購買・調達コンサルタント、未来調達研究所株式会社取締役)

坂口孝則/未来調達研究所取締役

坂口孝則/未来調達研究所取締役

大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の専門家。サプライチェーン分野の知識を使い、ものづくり領域の先端解説などを行う。
未来調達研究所

Twitter:@earthcream

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