しかし、GPIFは17年度末に国内株の運用比率の目安である25%を突破。18年度には国内株の保有総額は40兆円を超え、もはや国内の株を買えないような状態になっています。GPIFは“株価押し上げ部隊”から“押し下げ部隊”へと変化してしまったのです。日銀も自己資本8兆円をはるかに超える24兆円規模のETFを抱え、株が下落した場合には債務超過に陥る大きなリスクを抱え込んでしまいました」(同)
証券市場の実質的なプレーヤーは、先物取引の7割を占める外国人投機筋。1989年以降、日本の証券市場で金融先物取引が行われるようになると、株式の実物市場でも頭角を現し、先物売りと現物買いをセットで取引し、その差額で利益を得る裁定取引で大きな利益を得てきた。
「裁定取引の決済が終わっていない現物取引の残高を示す『裁定買い残』などのデータを見ると、外国人の投資の動向がわかります。彼らが現物を大量に買えば、株価が上がるのは当然です」(同)
そんな彼らが今度は逆に売りに転じれば、日本の株式市場はひとたまりもない。
「裁定買い残から見ると、彼らは日経平均株価の現在の実力は8500円程度だと見ていると思われます。日銀は株価が1万8400円になれば含み益が吹っ飛び、1万7700円で赤字に転落、1万1700円で債務超過に陥ります。彼らがもし日銀に圧力をかける目的であれば、まずは1万8400円をターゲットにし、これが崩れれば1万7700円、最後は1万1700円を狙って仕掛けてくるのではないでしょうか」(同)
未曾有の金融危機でリストラ加速も
株の大暴落は、別の視点からも分析することができる。経済や相場を予測するために大きな参考となるのは、現状が過去のどの時点と似ているかを見ることだ。
「現状をよく見てみると、中国景気の減速懸念が火種となって原油安やブレグジット(英国の欧州連合からの離脱)不安を引き起こした時期と似ています。いわゆるチャイナショックです。日本は『成長社会』が終わり『成熟社会』になったといわれていますが、相変わらず先行き不透明で不安定な世の中のままです。さまざまな経済指標やデータを『T-Model』で分析してみると、2020年以降にかつてないほどの金融危機が起こる可能性がある。それに伴って、株式相場の大暴落が必ず起きます」(同)