消費税が8%に増税された4月1日、年金制度も改正された。4月1日以降に、女性が上記の「子」と夫(「子」の父)を残して亡くなった場合、遺族基礎年金が支給されるようになったことをご存じだろうか。
実は、今年3月31日以前は、女性が亡くなった場合は、「子」がいても父が一緒に生活をしている家庭には遺族基礎年金は支給されなかった。
それが4月1日以降は、会社員として働いていても、自営業者であっても、パートタイマーでも、専業主婦であっても、女性の生前の職業にかかわらず、「子」を残して死亡した場合は、「子」に父がいても遺族基礎年金が支給されるようになったのだ(年収850万円未満などの一定の要件あり)。
その金額も大きい。「子」が1人いる場合は年間99万5200円、2人の場合は121万7600円、3人の場合は129万1700円が支給される。
つまり、月換算すると、今の給料に加えて、「子」が1人の場合で約8万円、2人なら約10万円、3人なら約11万円を受け取ることができるので、もしも妻が「子」を残して亡くなった場合でも経済的な負担が軽くなる。さらに、遺族基礎年金は非課税で受け取ることができるため、受給によって税負担が増えることもない。
そして、この遺族基礎年金の対象となる「子」には要件があり、「子」が18歳の年度末を迎えるまで、障害等級1級・2級の「子」なら20歳になるまで受け取ることができる。つまり、子が0歳の時に妻が亡くなったとすると、18歳の年度末を迎えるまでに、総額約1800万円の遺族基礎年金を受け取ることができるのだ。
死亡保険を見直す機会に
「子」と夫を残して亡くなった場合のことを考えて、死亡保険をかけている女性も多いだろう。しかし、見直したほうがいいかもしれない。
それだけの遺族基礎年金が国から支給されるのなら、加入している死亡保険を減額、あるいは解約できる可能性は高い。そして、減額や解約で節約した生命保険料を、消費税の増税分の家計のやりくりに使えるお金に替えられるのではないだろうか。
ただし、ご多分に漏れず、請求しなければ国からお金をもらうことはできない。だからこそ、もしもに備えて「子」を持つ父は必ず知っておくべき改正点だ。制度は、時代に合わせて変わっていく。だからこそ、常に新しい知識を得る必要があるのだ。
(文=前野彩/ファイナンシャルプランナー)