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徳岡晃一郎「世代を超えたイノベーションのために」

なぜ専門家は「役立たず」なのか?スーパージェネラリストを目指せ!

文=徳岡晃一郎/経営コンサルタント、多摩大学大学院研究科長

 これらが、じつは先に述べた7つの思考に該当する。

(1)思想:時代背景からきたる今後の人類の理念
(2)ビジョン:未来のエネルギー需要や人々の受容性の予測
(3)志:国や社会としてのエネルギー問題への立ち位置・覚悟
(4)戦略:国の成長戦略のなかでのエネルギー政策、世界各国の動向の読み
(5)戦術:短期的な経済・エネルギー政策、国民の理解促進
(6)技術:将来の技術開発見通し、代替エネルギーの技術開発見通しなど
(7)人間力:エネルギー問題を引っ張る政治家や官僚、企業トップの信頼やリーダーシップ

 こうしてみると、もちろんひとりですべてをカバーするのは容易ではないが、すくなくとも大きなインパクトをもたらす課題に挑戦するには、このように多面的な知性を働かせないといけないことはわかるだろう。

 優れた知性の持ち主は、これら7つの領域を幅広くカバーできるだけではなく、こうした7つの階層を自由に行き来して、世の中の見えないシステムを洞察し、人々を説得し、現実的な対応を考えていく。

 垂直統合の思考術を身につけることで、スーパージェネラリストとして、未来を幅広くとらえる力をつけることができる。自分の専門分野に立脚しつつも、自分の持ち場・立場に閉じこもらずに、自分の立ち位置を未来に軸足をおいてレバレッジすることができる。それによって、本質的な解決能力を身につけて新たな世界を切り開いていってほしい。知的欲張りな生き方をしてほしい。
(文=徳岡晃一郎/経営コンサルタント、多摩大学大学院研究科長)

徳岡晃一郎/経営コンサルタント、多摩大学大学院研究科長

徳岡晃一郎/経営コンサルタント、多摩大学大学院研究科長

ライフシフトCEO
多摩大学大学院教授、研究科長、フライシュマンヒラード・ジャパン シニア・ヴァイス・プレジデント、多摩大学社会的投資研究所所長

1957年生まれ。東京大学教養学部卒業。オックスフォード大学経営学修士。日産自動車人事部、欧州日産を経て、99年フライシュマン・ヒラード・ジャパンに入社。人事およびコミュニケーション、企業文化、リーダーシップなどに関するコンサルティング・研修に従事。2014年より多摩大学大学院研究科長、2017年ライフシフトを設立、CEOに就任。主な著書に『MBB:「思い」のマネジメント』(共著、東洋経済新報社)『未来を構想し、現実を変えていく イノベーターシップ』(東洋経済新報社)、『人事異動』(新潮社)、『ミドルの対話型勉強法』(ダイヤモンド社)、『人工知能Xビッグデータが「人事」を変える』(共著、朝日新聞出版社)、『しがらみ経営』(共著、日本経済新聞出版社)など他多数。
株式会社ライフシフト

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