4月になり、通勤電車の中は普段よりも一層にぎわっていることに気づく。それはおそらく、「フレッシュマン」たちと、酔っ払いたちの存在が大きいだろう。朝は初々しくスーツをきた新入社員や、緊張の面持ちを見せる新入生たちが、夜は花見や歓迎会で気分よく電車に駆け込んでくるビジネスマンたちが顔を見せる。
混み合う電車。不自由な環境。その手を伸ばすだけでも一苦労。実はそこには、男にとって大きなリスクが転がっているのだ――そう「痴漢冤罪リスク」である。
■いきなり電車内で「やめてください!」と言われたら…
次の問いに答えてみてほしい。
【問】
混雑した車内で、そばに立っていた女性がこちらを睨みつけてきます。そして、その女性があなたに向かって「やめてください!」と声をあげました。あなたならどうしますか?
A.足でも踏んだのかと思い「すみません」と謝る。
B.とりあえず「どうしましたか?」と尋ねる。
ここで取るべき対応は「B」だ。Aを選んでしまったという人は、場合によっては「痴漢」ということで逮捕され、その後の人生がめちゃくちゃになってしまうかもしれないのだ。
■満員電車で絶対禁句のひとこと
『痴漢に間違われたらこうなります!』(Satoki著、弁護士・坂根真也監修、自由国民社刊)は、私たち誰もが陥る可能性のある「痴漢冤罪」の実態と対策がまとめられた一冊。
それによると、もし先述の女性が痴漢を受けていて、その犯人としてあなたを疑っていたとしたら、Aの「すみません」はその容疑を認める発言として受け取られかねない。満員電車で「すみません」は禁句、というわけだ。
また、よく「名刺や免許証など、自分の身分や連絡先を明らかにすれば、刑訴法217条によって現行犯逮捕の要件が失われるので、相手に身分証明書を示して、堂々とその場から立ち去ることができる」という情報が出回っているが、実は少なくとも法的根拠はないという。
というのも刑訴法217条は、簡単にいえば「逮捕容疑が2万円以下の罰金刑だったり、勾留(30日未満の自由刑)や科料(1000円以上1万円未満の財産刑)だった場合、現行犯逮捕できるのは、住所や氏名がわからない者に限る」となっている。痴漢に関する罪状は「強制わいせつ罪」と、各都道府県ごとの「迷惑防止条例」で、罰金刑の上限がオーバーしていたり、刑罰に「懲役」が含まれるので、この法律は適用されないのだ。
■「痴漢冤罪」を避けるためにまずすべきこと
上記のようなケースで、まずすべきなのは「一刻も早く弁護士に依頼する」と いうこと。これは、留置場に入れられてからでは遅すぎる。現場となった駅の駅員室に連れ込まれそうになった瞬間から、弁護士を呼ぶ権利が生まれるため、万 が一巻き込まれてしまったらすぐに弁護士を呼ぶべきだ。
また、そのためにも普段から「緊急を要する方へ」と、緊急連絡先を明記している刑事事件専門の弁護士事務所や、各地方の当番弁護士派遣専用の電話番号を携帯電話に登録しておくと便利だろう。
いつ我が身に降りかかるかわからない「痴漢冤罪」。知識を頭に叩き込んでおくことは、世の男性にとって必須であるはずだ。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。