生きていくうえで、自信や自己肯定感を正しく持てているかは大事な問題だ。
世の中には、仕事で優秀な成績を残して、誰からも認められているにもかかわらず深刻な自己不信を抱えている人もいれば、誰に認められなくても平然と自分を信じて生きていける人もいる。両者の違いこそ「自己肯定感」にほかならない。
日本とアメリカで心理セラピストとして活躍する王丸典子さんは『フェアシンキング (自己肯定感が高まる最強の思考法)』で、自己肯定感を持てないまま生きることの弊害と、日本人の自己肯定感の低さを指摘している。
■自己肯定感が低い人に見られる3つの特徴とは
自己肯定感の低い人、つまり、自分に対する評価がネガティブに偏っている人は、自分自身の人間としての価値を見出すことができず、自信も持てません。また、迷いや不安に翻弄されて、自分の望む方向になかなか進めません。(P6より引用)
王丸さんは自己肯定感が低いまま生きることの弊害についてこんなことを語っている。自分に価値を感じられない以上、どんなに仕事で大きな成果を残しても、他人から深く愛されても、自分への不信感がいつまでもつきまとうというわけだ。
また、自己肯定感が低い人の特徴としてはこんなものがあるようだ。
・他人の顔をうかがいすぎる……自分の気持ちよりも「相手からどう見られているか」が先に来る
・ゆきすぎた完璧主義……「できているところ」や「長所」よりも「悪いところ」や「改善点」に目が行ってしまう。
・他者との比較によって自分の価値を確認する傾向……評価の軸が「自分」ではなく、他者からの評価。
こうした特徴を持つ人は、必然的に仕事でも家庭生活でもストレスを抱えやすくなるが、そのストレスは「自分そのもの」を見つめなおすことでしか、本質的には解消されない。非常にあやうく、苦しい状態だといえるかもしれない。
■「ポジティブシンキング」とは一線を画す「フェアシンキング」とは
自信や自己肯定感を持てない自分を変えるために、王丸さんは「フェアシンキング」という思考法を提案している。
自己肯定感が低い人は、自分のことを実際よりも低く見たり、思考パターンがネガティブな方向に偏りやすい。フェアシンキングはそうした考え方を公平で客観的な方向に修正していくものだ。
フェアシンキングは、ポジティブかネガティブかという、頭に浮かんだ考えの内容そのものよりも、考えたことをひとまず一度見つめ直してみることに重きを置く。その結果ポジティブな方に考えた方がしっくりくるならそう考えればいい。
問題はどうしてもネガティブな考えが頭に浮かんでしまう場合だ。この場合は、思考が少しでもニュートラルな方向に戻るようなことを考えてみるのがポイントとなる。
その場ですぐにネガティブな考えを追い払うことができなくても、この取り組みを習慣化することによって、ネガティブな方向に考えがちだった思考パターンや感情、そして自分という存在への捉え方が、現状をありのままに受け止めるフェアなものに、次第に変わっていく。結果、必要以上に自己否定や自己批判をすることがなくなるため、自己肯定感を高めることにつながるという。
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王丸さんは本書のなかで、自己肯定感の正体とその高め方、そしてフェアシンキングについて、さらに詳しく解説している。
漠然とした不安や、満たされない自尊心、不毛な競争心や嫉妬心。
こうしたものは、もしかしたらあなた自身の自己肯定感に起因するものかもしれない。もっと楽に、ストレスを抱えることなく生きるために、本書で提示されるフェアシンキングの考え方は、多くの人にとってヒントになるのではないか。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。