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■2045年、労働者は全人口の1割程度の可能性も
井上氏は「今から30年後の2045年くらいには、全人口の1割ほどしか労働していない社会になっているかもしれません」(同書P166より引用)と述べる。残るといわれている仕事の3つの分野の中でも、AIはある程度仕事を肩代わりする。レストランは、「無人に近い格安レストラン」と「人間が応対する高級レストラン」に分かれる可能性があるだろう。
そして、汎用AIが生産活動に全面的に導入されるような経済を「純粋機械化経済」と呼んでいる。
18世紀半ばに起きた第一次産業革命から、2030年の第四次産業革命までの「労働の効率化」が続けられていた時代は終わり、汎用AIは一気に仕事を人間からひきはがしていく。そして待ち受けているのが、2045年の「労働者は全人口の1割程度」という経済構造の大転換点である。
問題は、AIの台頭によって仕事を失った人たちはどのように生きていくべきか? ということだ。普通に考えればAIを使う側に立つ資本家と、AIに仕事を持っていかれた労働者側の格差が極端に広がるディストピアになるだろう。
井上氏はこの課題に対して、「ベーシックインカム」導入の可能性を指摘している。こちらの詳しい議論は『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』を参考にしてほしい。
さまざまな文献や研究結果を引用しながら、AI社会の到来と私たちの未来を論じた本書は、「ちょっと悲観的ではないか」と思う部分もあるかもしれない。しかし、そのような未来が待っている可能性もありえるということは頭に入れておくべきだろう。
「まだ遠い未来だから」と話せるほど、2030年、そして2045年は遠くない。
(新刊JP編集部/金井元貴)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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