■他人事ではない「空き家問題」にどう対処する?
昨今、不動産でよく話題に出るのが「空き家問題」だ。
2013年時点では「820万戸」だった空き家が、次回調査の2018年には「1079万戸」、2023年には「1404万戸」に増加するという予測もあるほど。
そんな状況のなか、「空き家を抱えているが、どう処分したらいいのか」「実家が将来空き家になったらどうしよう」と考えている人も多いだろう。
本書によれば、「空き家があるなら、今すぐに売る」のがもっとも賢い選択だという。
とはいえ、空き家を相続した場合にはいくつか選択肢はある。
一番は、やはり「売却する」だ。
2016年4月1日から2019年12月31日までの間に、家屋や取り壊し後の土地を譲渡した場合、譲渡金から3000万円を控除できる「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が創設されているので、この期間に売却することが望ましい。
ただし、この特例には、いくつかの要件があるので財務省のHPで確認するといいだろう。
売却は、複数の不動産仲介業者に査定をしてもらい、「査定価格の根拠を明示している」「購入者のターゲット、販売戦略が示されている」といったポイントを押さえている業者に依頼すると良いようだ。
「貸す」と言う選択をする場合は、修繕・リフォームが必要になるので、リフォーム費用と、コストの回収期間を計算することが大切だ。
また、国土交通省は、空き家に入居する高齢者、低額所得者、子育て世帯などに、最大で月4万円の家賃補助。受け入れる民間住宅には、年間5万戸程度だが、改修費として最大で100万円を配布する方針もあるというので、利用することを検討してもいいかもしれない。
将来的に自分が済む可能性を残すために「空き家のまま管理する」という選択肢もある。
空き家は、人の出入りがないとみるみる老朽化が進む。そのため、「空き家管理サービス」などを利用して、定期的なメンテナンスをしておくといいだろう。このサービスは、月に五千円から1万円程度が相場だ。
最後の選択肢は、「自分で住む」だ。
リフォームが必要になる場合がほとんどなので、安心して依頼できるリフォーム会社を探すことがポイントだ。また、補助金や助成金を出している自治体もあるので、確認するといいだろう。
ほとんどの人にとって、自分が住む家ををめるというのは、人生の一大イベントだ。
本書を読んで、変わりつつある不動産情勢をしっかりと把握し、安心して、長く住める家を探したいものである。(ライター/大村佑介)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。