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ディスコ、社会的ブームに…高齢者施設でも大フィーバー

構成=吉澤恵理/薬剤師、ジャーナリスト

高齢化社会にディスコができること

 親子ディスコ、ファミリーディスコが親子世代にもたらした笑顔を見て、「ディスコ」が社会に貢献できる文化であると確信していたDJ OSSHYに、さらに挑戦の場を広げるような話が舞い込んだという。それは「高齢者ディスコ」の開催である。

 慶応義塾大学が認知症プロジェクトのひとつとして、高齢者の身体的かつ心理的リハビリに、ディスコを用いて認知症患者に及ぼす効果・影響を探りたいとして、白羽の矢を立てられたのがDJ OSSHYである。

 だが、DJ OSSHYにとっても、高齢者ディスコを成功させる挑戦は容易ではなかったという。

「最初は高齢者という情報のみしかなく、詳細を聞いたのは開催までそう遠くない日でした。参加者は認知症患者40名で、ほぼ全員が車椅子利用者だというのです。さすがの僕も、一体どうやって車椅子に座った40名を踊らせようかと悩みました。

 色々と考えているうちに70年代のディスコを思い出し、当時は手の振りが多く、みんなで同じ振り付けをして楽しんでいました。『これだ!』と思いつきましたが、高齢の参加者にわかりやすく説明するにはどうしようかと、さらに頭を悩ませました。

 その結果、『拝みましょう』『綱引きのポーズ』など振り付けに似た、簡単な動作でお伝えすることにしたのです。実際に始まってみると、心配とは裏腹に皆さんがイキイキと踊ってくださり、満面の笑みで楽しんでいました。会場となったのは高齢者施設でしたが、施設の職員の方々から『みんながこんなに嬉しそうに笑っている姿も、こんなに動くこと・踊ることを楽しんでいる姿も、初めて見ました。ぜひまた、開催してください』との声をいただきました」(同)

 筆者も薬剤師としてデイケアを行う病院に勤務した経験があるが、高齢者の介護やリハビリで見直すべきと考える手法のひとつに「音楽」がある。高齢者のデイケアなどでは、さまざまなアクティビティーが行われ、音楽も使用されるが、なぜか昔から童謡や唱歌などを使用し続けている場合が多い。

 たとえば、現在80歳の人が若い時にどんな曲を聴いたかということを考えてみると、加山雄三氏と同世代である。つまり、童謡や唱歌よりもビートルズやビーチボーイズを聴いたほうが懐かしむのではないだろうか。

 音楽は、人の心に働きかけ、思わぬ効果をもたらすことがある。本来は、心踊る音楽を聴くべきだと思うが、高齢者介護の現場でそういった配慮がなされているところは決して多いとはいえないだろう。DJ OSSHYの高齢者ディスコは、これからの介護の現場に新たな風を巻き起こすかもしれない。

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