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「儲けられる特別な情報」という名のワナ

野村、外資系証券etc.“巧妙な”インサイダー取引の実態

【この記事のキーワード】

 つまり、株価に影響を与える可能性が高い、公表されていない情報を知っている人が株式売買するのは「インサイダー取引」といい、不公正な有利な売買である、ということになったのです。

 翌年の89年に改正証券取引法が成立し、刑事罰則も付加されたインサイダー取引規制がスタートしました(のち、罰則強化など段階的な改正を経ています)。
 
 簡単にいえば、インサイダー取引は犯罪だと認定されたのです。

以前は“顔パス”で入れた野村證券

 では、その後、インサイダー取引がなくなったのか?

 自分の実感からいいますと、90年代はそうした情報は少なからず漏れている感はありましたが、でも、バブル崩壊でインサイダー云々どころでなく、日本全体が波乱に翻弄され、97~98年の金融危機まで突っ走っていきました。

 情報規制が強くなり始めたのは、97年の野村證券による総会屋利益供与問題が表面化した頃からでしょうか。

 当時、僕は野村證券の担当で(証券専門紙は大手証券からの情報収集も大切な仕事ですので、証券会社担当を置いています)、受付も顔パスで各部署に出入りしていましたが、その事件後、きちんと受付を通さないと入れなくなりました。99年頃からだったでしょうか、総合受付、階の受付、部署の受付の3カ所の関門を通らないと、行きたい部署に行けないほど厳しくなりました。

「他社の人間が入るのが難しい=情報管理強化」はイコールではありませんが、すべてをひっくるめて証券会社が変わり始めたことを感じました。

 昔の「あうんの呼吸」(なあなあ?)も通用する体育会系の体質から、ちょっと冷たい印象の理系っぽい体質に変わった感じでしょうか……。理系が冷たいというのではなく、雰囲気的なものですよ。ただ、いくら近代的に変身しても、今後もカネを稼ぐというバクチ場、鉄火場的な雰囲気は、変わりようがないと思います。

 ITの普及という時代の変化も影響していますね。

 ただ、それ以降もインサイダー取引がなくなったかは疑問です。実際、逮捕される人も出ていますし。

ある企業の株価がいきなり上昇のウラ

 某超巨大企業の株価がいきなり上げ始めたことがありました。何か材料が出たのかを調べてみても、何も出ていない。しかし、数日後にその企業は自社株買いを発表しました。もちろん、状況証拠に過ぎませんが、情報漏れをしていたのではないかと感じました。

 ただ、この件でインサイダー取引の逮捕者は出ていません。その後、多数の逮捕者が出ていますが、大手企業からではなく、新興系の中小企業からばかり出ています。やはり、大手企業の政治力がモノをいっているのかなぁ。

 でも、その後はインサイダー取引の罰則も強化されていますし、IT技術の進化から証拠集めもやりやすくなったためでしょうか、重要な情報が漏洩するケースは激減したと思います。

 最後まで残ったインサイダー取引が、いま問題化している公募増資インサイダーといえます。

 増資とは、企業の資金集めの一手法。企業が新しい株券を発行し、それを証券会社が金融機関など機関投資家に売り、企業が資金を得るというものです。

 大量の増資ですと、証券会社に入る手数料も膨大なものになります。当然、売れ残りも困る。

BusinessJournal編集部

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