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「儲けられる特別な情報」という名のワナ

野村、外資系証券etc.“巧妙な”インサイダー取引の実態

【この記事のキーワード】

 
 今はわかりませんが、少し前までは

「仮にですよ。A社が増資するとしたら、いくらならどれだけの株数を引き受けてもらえますか?」

と証券会社の増資引き受け担当部署から、機関投資家に対するヒアリングがあったようです。「仮にですよ」といわれても、「あ、増資が近いんだな」とわかってしまいますよね(笑)。

増資を示唆する暗黙のサイン

 また、増資が近づくと、増資引き受けの証券会社(この場合、増資の幹事証券といいます)内のアナリストによるレポートを出さなくなるという社内ルールが証券会社にあります。すると、

「A社をずっと取り上げてきたのに、ここ最近、レポートを出さなくなったな。そういえば、A社は積極的な設備投資を計画している。資金需要があるな。増資が近いんじゃないか」

という想像もできるわけです。
 
 増資をしますと、株数が増えますので、1株当たりの利益が減ります(これを1株利益の希薄化といっています)ので、理論上、株価は下がります。つまり、マーケットでは増資は「売り」とされています(個人的にはちょっと違うと思うのですが、その話はいずれしましょう)。

 増資情報を得たところは増資発表で下がるとわかるわけですから、その前に株を借りてカラ売りをしておく。
 
 当然、株は下がります。公募増資価格も下がります。仮に1000円で100万株を売り、増資価格800円で100万株の新(増資)株を買えば、差し引き200円で、2億円の儲けとなります(手数料は別途発生)。
 
 この増資インサイダーの手口が、最後に残った大きなインサイダー取引といえます。

増資インサイダーが激減方向

 今回の問題を受け、金融審議会が証券会社の社員などが未公表情報を伝達・漏洩しただけでは処罰されない現行規制の見直しや、課徴金額の引き上げなどの議論を開始しましたし、証券各社も一段と厳しい社内体制を構築せざるを得ず、増資インサイダーは激減するでしょう。

 しかし、「儲けたい」という欲望のある人間が介在する以上、インサイダー取引はなくなるとは思いません。

 でも、よく考えてください。そもそもインサイダー取引は犯罪ですよ。犯罪をしてまで儲けたいですか?

 それに、仮にインサイダー情報や、それ以外の特別な情報が入ったとしても、あなたに入っているということは、もっともっと多くの人にも入っていると考えるのが自然でしょう。
 
 また、冷静に考えてください。「そうした情報=儲かる情報」とは限らないし、逆にあなたを引っかける情報かもしれませんよ。

BusinessJournal編集部

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