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大手電力会社、多発する太陽光発電事業者への電力買取拒否の実態 再生エネ普及の壁に

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「Thinkstock」より
 昨年7月1日にスタートした「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」は、太陽光、風力、バイオマスなどの自然エネルギーで発電された電気を、電気事業者(いわゆる電力会社)が国の定める価格で買い取る制度だ。これにより、特に太陽光発電事業への新規参入が続いている。

 電力会社は太陽光発電事業者の電力を全量買い取らなければならないのだが、法律には例外規定が設けられており、「買取拒否」と送配電ネットワークへの「接続拒否」が認められている。これは新制度がスタートする前から問題点として指摘されていたのだが、自然エネルギー財団が実施した「太陽光発電の系統接続に関する事業者アンケート」によると、その懸念はかなり現実のものとなっているようだ。

 アンケートに回答した太陽光発電事業者79社のうち、事前相談段階で電力会社から系統連系が拒否されたケースが15件、また連系制限があるとの回答を受けたケースが28件あった。また、大幅な設備容量の縮小要請や遠い連系点への接続要請などもあり、実質的に事業を断念せざるを得ないケースも多発している。

●電力会社の関連企業丸儲けの構図

 ここで、自然エネルギー事業者(ほとんどは太陽光発電事業者)と電力会社の契約について、簡単に触れておく。

 発電した電力を電力会社に買い取ってもらうためには、電力会社との間で「特定契約」という買い取りの条件などを規定した契約を結ぶ必要がある。発電量が契約よりも少なかった場合に、電力会社が不足分を補給する必要があり、その費用を発電する側が負担することに合意しなくてはならない。合意しない場合は、電力会社は買い取りを拒否することができる。それから、太陽光や風力などは気象条件によって発電量が安定しない弱点があるが、その不安定さによって、電力会社が適切なサービスを利用者に提供できなくなるおそれがある場合には、買い取りを拒否できることになっている。

 電力ネットワークへの「接続」は、電力会社の送配電ネットワークを借用することを意味する。日本の送配電ネットワークのほとんどは地域別の電力会社が所有しており、発電した電力を利用者である一般消費者に送るためには、電力会社のネットワークを使う必要がある。

 ここでも問題が起きる。まず、太陽光発電事業者の発電設備と電力ネットワークをつなぐための「電源線」の敷設費用負担だ。たいていの場合、電力会社が敷設工事を担当し、その費用は発電者側が負担しなくてはならない。しかし、ほとんどのケースで工事は電力会社の関連会社が行っているため、発電事業者側には金額や工期の妥当性を確認できる仕組みがない。発電事業者にすれば、複数の会社から見積もりを取って、安い会社に工事を発注できれば負担が少なくて済むのだが、電力会社側の言い値のような高い工事金額で契約させられているのだ。アンケートの回答の中には「連系工事負担金が当初よりも20倍もの高額で示された」なんていう、とんでもないケースもあった。

 さらに、電力会社の事情によって、地域内の電力供給量が需要を上回ることが想定される場合、あるいは送電する量がネットワークの許容範囲を超えることが想定される場合には、受け入れる電力を減らしたり、接続を拒否したりすることができる。いずれの場合でも電力会社は明確な根拠を書面で説明するように義務付けられているのだが、その根拠に反論して状況を覆すことはほとんど不可能だ。

 このほか、公道内に送電線の敷設工事をする必要があっても発電事業者側では工事ができないため、電力会社に工事を依頼したが拒否されてできなかったというケースや、電力供給開始後に問題が起きて、発電事業者に追加の費用負担が発生するというケースなど、さまざまな問題がある。

 接続手続きにかかる期間も長い。電力会社ごと、あるいは営業所ごとでばらつきがあるものの、連系協議にかかる時間は平均2.6カ月。4カ月以上たっても電力会社から回答がないケースもあったという。事前相談(平均1カ月)と特定契約(平均1.5カ月)の期間を合わせると、電力の買い取りまでに太陽光発電事業者は半年近い交渉を強いられることになる。

●電力会社寄りの仲裁機関・電力系統利用協議会