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都民は選挙に興味なし!

“テレビ政治家”の敗北…都議選、なぜ民主党と維新の会は惨敗したのか

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「橋下徹 公式HP」より
 2013年6月23日に東京都議会選挙が行われた。結果はご存じの通り、自民党と公明党が合わせて過半数を取り、圧勝となった。これらは、投開票日以前から大体予想されており、あまり意外性がない結果だった。

 ただし、この選挙がメディアに注目されたのは、この後の7月21日投開票が行われる参議院議員選挙に直接的な影響を及ぼし、その予想にもつながるからだ。ある意味で最も有効な「支持率調査」であり、09年の都議選の後に行われた衆議院議員選挙で、都議選の結果と同様に民主党が圧勝して政権を奪取したことも思い返させる。

 さて、今回の都議選の注目すべきポイントはふたつ。ひとつ目は、やはり議席数だ。自公与党が第一党・第二党となり、第三党に共産党がきたことはすでに多くのメディアが報じている。民主党は第四党に下落し、そして今回、初めての都政選挙となった日本維新の会は、橋下徹大阪市長の言葉を借りても「惨敗」という結果となったわけだ。

 次に投票率の低さ。今回の都議選では、前回に比べて投票率が11%も下落し、43.5%となっている。まさに、都民の6割近くが、選挙に関心がなかったのだ。

 なぜこれほどまでに都民は政治に興味がなく、また、民主党と維新の会は惨敗したのか? 実は、これはひとつのキーワードで理解することができる。ここでは民主党と維新の会の事例をもって、その分析を示していきたい。

●惨敗政党が抱える病巣、テレビ政治家とは?

 ところで、皆さんは政治の世界でささやかれている「テレビ政治家」という言葉をご存じだろうか?

 まだネットなどにもあまり出てこない単語なので、なじみのない方もいるだろうと思う。しかし、この単語を見れば、それがどんなものか、なんとなく想像つくのではないか。

 「テレビ政治家」とは、基本的にテレビのコメンテーター同様、テレビメディアを使って自分の主張を行う政治家のこと。ある意味で「タレント政治家」とも呼べるのだが、彼らはテレビメディアでの反響を元にして政治的主張を行うという傾向がみられる。

 彼らの政治の最大の問題は、単純な衆愚政治をするのではなく、テレビ番組の構成(プロデューサーなどの製作側の意図も含む)という「フィルター」を通して、自らが「衆愚」におぼれてしまうことが非常に多くあるのである。

 テレビの報道やニュースは、当然、事実報道を行うものだが、ご存じのようにバラエティやドラマ的な「フィクション」を作り出すことも多く、それが「やらせ」問題に発展することさえある。そのテレビ番組側のフィルターを通して大衆迎合的な政策発信をすれば、うまくいけば、大衆は熱狂的に彼らを迎えてくれるものの、その熱狂はすぐに冷めてしまう。一方で、その麻薬のような熱狂を求める政治家側は、より一層、脚色した過激な表現を行い、時として、(橋下大阪市長による慰安婦発言のように)タブーに触れた発言をすることになる。

 このテレビ政治家が最も跋扈したのが、民主党政権交代直前の自民党第一次安倍晋三政権から麻生太郎政権時代だった。民主党はこの手法に長けた議員を多数擁しており、自民党内部からも政権批判が続出し、民主党の議員に対する注目が大きくなって「一度、民主党に政権を取らせてみよう」という国民的熱狂が社会を覆った時期である。この結果、民主党が与党となったわけだ。

 しかし、この民主党政権は必ずしもしっかりとしたものではなかった。あえて言うが、テレビを通した大衆迎合で政治ができるはずがない。もちろん民主党も、その政治的根本が強く、しっかりとしたイデオロギーに基づいて党内をまとめ、政治を行っていればよかったが、結果的には、他者を批判するだけで政権を取り、内容がついてこず崩壊したわけだ。(これに関しては、私が09年に上梓した『民主党の闇』という本を読んでいただけるとよいかもしれない)

「テレビを通した大衆迎合」は、なぜうまくいかないのか? 彼らがテレビの影響を受けて政治的なイデオロギーをころころ変えるので、彼らの政治の根本が崩れてしまうこともひとつにある。同時に、テレビを見ている国民は、さまざまな自分の解釈でその番組や報道を見ているので、政治家の発言に対して自分に都合の良い解釈を行い、その解釈の通りになるというような自分勝手な理想に“期待”してしまうという側面もある。

 そして、その“期待”は、テレビというフィルターが外れ、別なフィルターがつけられれば、同じ現象であっても違う色合いで見えてしまう。例えば民主党政権の初期で「事業仕分け」は多くの人が歓迎されたが、蓮舫議員の「一位じゃなきゃダメですか?」という発言が批判の的となり、そのフィルターが負の要素に変わってしまうと、国民的な熱狂はすぐに冷め、それどころか「事業仕分け不要論」が盛り上がり、かえってこの政策のあらが目立つようになってしまう。

BusinessJournal編集部

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