●「結婚システム」は、圧倒的な“幸せ”生産機能を持っている
今回の結果から明らかなように、「結婚システム」には“幸せ”と“不幸せ”のどちらの方向にも拡大・展開する機能があります。女性の人生を地獄に叩き落すような“不幸せ”を生産する能力もあり、また満点以上の点数をつけさせる、魔法のような“幸せ”を生産する能力も有しています。
また、決して低くない離婚率(35.6%)から見て、「結婚システム」の“幸せ”や“不幸せ”を自由にコントロールするジョイスティックやリセットボタンのようなインターフェースはなく、結婚が「運」に左右される「ギャンブル」であることは間違いなさそうです。
これらより、第3回の結論と同様に「勝負に出ないこと(独身を貫くこと)が最適戦略」という結論を導き出すこともできるかと思います。
しかし、――主観的な所感ですが――データを見る限り、女性に関しては「結婚」という勝負に出る価値はありそうです。これは、やはり図5のデータおよび図9の解析の結果のインパクトが大きく、そう感じます。
46%の人が10点満点で8点以上の“幸せ”であると回答し、77%の人が6点以上の“幸せ”であると回答し得る、そんな「“幸せ”生産機能」を有するシステムは、私の知る限り「結婚システム」以外にはありません(少なくとも、教育システムや納税システムにはなく、そして私が仕事で関わってきた「鉄道/電力/交通/通信システム」には絶対にありません)。
そのような「結婚システム」の「“幸せ”生産機能」が、なぜこれほど知られていないのか、不思議に思いませんか? それは“不幸せ”は、多くの人に歓迎されるエンターテインメントであり、比して“幸せ”は、他人にとっては不愉快で、そして妬みの対象となり得るからと、私は考えています。
私は、いわゆる「テレビドラマ」が嫌いです。世の中には、放っておいても不幸や不運があふれ返っているのに、なぜ不幸や不運の「創作物」まで見なければならないのか、と思えてしまうのです。
しかし、一方で「家族皆がいつもニコニコしていて、子供はきちんと勉強して、順当に成績が伸びて受験に成功して、奥さんはご近所とのおつきあいで素晴らしいコミュニケーション力を発揮して、旦那は仕事で努力を重ねて出世を続ける」――そんなドラマが視聴率を取れるだろうか、と自問すれば「まあ、初回で打ち切り決定だな」と、当然のごとく思えます。
つまり、“幸せ”であること(そして、それを吹聴することは)は、我が国においては最大級の悪徳であり、仲間に対する裏切りであり、世間に対して生涯黙していかねばならないトップシークレットなのです。
つまり「結婚システム」の「“幸せ”生産機能」は、今回の筆者のように誰かが苦労して見つけだして、それを公表しない限り、開示されないもののようです。
そもそも結婚が必ず不幸になるシステムであるなら、そのようなものが存続し続けているはずがありません。
●“不幸せ”のリセット手段
それと、忘れがちなのですが、「結婚システム」が「“不幸せ”生産機能」を暴走させてしまったとしても、それを「止める手段」は残っています。
「離婚」というリセットボタンをプッシュすれば、「結婚システム」は停止します。「離婚」は“幸せ”になるための確実な第一歩であることを忘れてはならないでしょう。もちろん、離婚は夫婦間の合意が前提であり、最悪、裁判に持ち込まれることもあり、また親権や養育費・慰謝料の問題と、山ほどのデメリットもあります。
それでは、結婚の“幸せ”偏差値を上げるには、どうしたらよいでしょうか?