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日向咲嗣『「無知税」回避術 可処分所得が倍増するお金の常識と盲点』第19回

知らないと大損!資格取得の学費の6割支給、失業手当も受け取れる!

文=日向咲嗣/フリーライター
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知らないと大損!資格取得の学費の6割支給、失業手当も受け取れる!の画像1専門実践教育訓練給付制度とは?(『第7版 失業保険150%トコトン活用術』<同文舘出版>より抜粋)

 世の中には、「知っている人だけがトクできる」話がある。それも、数百円、数千円単位ではない。数十万円から、場合によっては100万円以上もトクするケースもザラにある。そういうと、何やら怪しげな情報のように聞こえるかもしれないが、一定の要件さえ満たしていれば誰でも給付されるのに、その情報を知らないばかりに結果的に大損してしまうのは、公的な給付制度では、日常茶飯事である。

 8月5日付当サイト記事『働きながら失業手当を満額受け取る?さらに就職活動まで行う術!』では、雇用保険財政が空前の黒字を記録しているなか、使い切れない予算を消費するために、昨年4月の法改正で導入された常識外れの大盤振る舞いの給付について説明した。

 今回は、「専門実践教育訓練」という雇用保険給付制度を紹介しよう。

教育訓練の新制度は“プレミアムコース”

 ひと頃、ビジネスパーソン向けの各種通信教育や英会話などの教室で「学費の一部が国から補助されます」と盛んに宣伝されていたことを覚えているだろうか。「教育訓練給付」と呼ばれる制度がそれで、雇用保険に3年以上加入(初めての人は当分の間1年以上加入)している被保険者には、専門学校などにかかった教育訓練費用の2割(上限10万円)を給付してくれるという制度だ。

 一見オトクそうだが、50万円かかっても講座修了後に10万円程度しか補助してくれないうえ、対象の短期講座を受けて取れる資格を持っているくらいでは、あまり転職には有利にならないため、最近は活用する人が減る一方だった。

 そこで昨年10月から登場したのが専門実践教育訓練給付制度だ。従来の教育訓練給付を「一般教育訓練給付」と位置付け、それとは別に、雇用保険に10年以上加入(初めての人は当分の間2年以上加入)している人のみを対象にした、いわば“プレミアムコース”である。

 何がプレミアムかというと、従来の教育訓練給付では対象にならなかった訓練期間1~3年の国家資格者養成コースが支給対象になっている点だ。

 看護師や診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士などの医療系国家資格はもちろん、美容師、測量士、調理師、栄養士など、民間専門学校の主だった国家資格コースのほとんどが給付対象。驚くのがその給付率の高さだ。原則として、かかった費用の40%(上限年間32万円)も給付してくれる。そのうえ、修了後1年以内に資格を取得して就職すると、訓練費用の20%を追加給付される。つまり、最高トータルで学費の60%も支給が受けられることになる。仮に2年間で学費に140万円支出した場合、最高84万円も補助され、自腹額は4割の56万円で済む計算だ。

知らないと大損!資格取得の学費の6割支給、失業手当も受け取れる!の画像2対象課程(『第7版 失業保険150%トコトン活用術』<同文舘出版>より抜粋)

 さらに、45歳未満の離職者については、別に申請すると訓練期間中に失業手当の半額を給付してくれるオマケ付きだ。退職後、資格取得のための学業に専念する場合、「失業している」とはみなされないため、従来は失業手当を受給することはできなかったが、教育訓練支援給付金制度によって、特別に失業手当の半額は支給されることとなり、スクールに通っている期間中は生活費の一部を雇用保険で賄うことができるようになったのである。

アルバイトでも雇用保険に加入できる

 今の時代、苦労して資格を取得したとしても、それが有利な就職につながるとはいえなくなっているものの、フリーター生活が長いために正規雇用の仕事に就くことが困難な状況にある若者にとっては、国家資格取得によるキャリアアップは、有効な選択肢のひとつであることは間違いない。

 しかし、アルバイトやパートなどの非正規雇用で働いている人が雇用保険のメリットをフルに享受できるかというと、はなはだこころもとない。

 そもそも非正規雇用では、雇用保険には加入していないケースもある。雇用保険に加入していなければ、何年働いてもこうした給付のメリットを得ることは一切できないとあきらめがちだが、その前に確認してほしいことがある。

 週20時間以上働いていて、なおかつ31日以上雇用見込みがあれば、例外なく雇用保険には加入しなければならない。もし勤務先の会社が加入手続きを怠っていた場合には、退職後でも職業安定所に「資格取得の確認請求」を行うと、入社時までさかのぼって加入手続きするよう会社に指導してくれる。もし会社が指導に従わなければ、職安係官の職権によって強制的に加入手続きがなされる。ただし、さかのぼって加入できるのは最長2年前までで、給与明細等で雇用保険料の天引きが確認された場合のみ2年を超えて遡及できる。

 つまり、1日3時間勤務や週2~3日勤務など、よほどのライトワークでない限り雇用保険には加入できる。厚生年金や健康保険とは、明確に分離して手続きがなされるものなので、短時間のアルバイトでも圧倒的に加入しやすいのである。

アルバイトでも、3年くらい勤めている人であれば、なんの問題もなく専門実践教育訓練給付を活用でき、最長3年の国家資格者養成コースにも通えるだろう。

 不安定な雇用で働く人は、この給付を活用しない手はない。また、身近に長年非正規雇用で働いている若者がいる人は、ぜひこうした役立つ知識をレクチャーしてあげてほしい。

 雇用保険には、6兆円近くもの積立金が眠っており、国はそのお金の使い道に困っている状態なのだ。大いに活用したいものである。
(文=日向咲嗣/フリーライター)

日向咲嗣/ジャーナリスト

日向咲嗣/ジャーナリスト

1959年、愛媛県生まれ。大学卒業後、新聞社・編集プロダクションを経てフリーに。「転職」「独立」「失業」問題など職業生活全般をテーマに著作多数。2015年から図書館の民間委託問題についてのレポートを始め、その詳細な取材ブロセスはブログ『ほぼ月刊ツタヤ図書館』でも随時発表している。2018年「貧困ジャーナリズム賞」受賞。

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