NEW
牧野知弘「ニッポンの不動産の難点」

住宅購入、35年間ローン払い続け老朽化住宅を手にする悲劇…低金利=今買うべきの盲点

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「Thinkstock」より
 1月29日、日本銀行はマイナス金利政策導入を発表し、世界の金融市場を驚かせた。


 中国経済の減速感が広がり、アメリカ景気の持続的な成長にも不安材料が見え隠れするなか、一部大企業の収益には相当の改善が見られたものの、ここで稼ぎ出されたマネーは国内市場へは向かわない。政府がどんなに「賃上げ」を声高に唱えたところで、今や収益の多くを「海外」で叩き出すこれらの企業にとっては、おいそれと賃金を上げる、あるいは国内での新たな設備投資を実行する勇気を持つには至っていないのが現状である。

 こんな状況にしびれをきらしたのか、日銀は世界を驚かせる「マイナス金利政策」を導入。この政策によって、円安誘導による輸出産業を中心とした産業の活性化、および市場に潤沢なマネーを供給することによる株式や不動産などの実物資産購入の推進によって景気の浮揚を図ろうとしたのだ。

 しかし、政策導入発表を行って数週間。マーケットは日銀の狙いとは別に、まったく想像だにしなかった展開を見せ始めている。世界金融マーケット全体への不信感から、安定通貨といわれている円買いが進み、なんと急激な「円高」を演出。さらには、通貨の強さとは異なり、一向に改善の兆しを見せない日本の個人消費の弱さやアベノミクスの政策的効果の限界を見越したからか、2万円を窺っていたはずの日経平均株価もこの間に一時20%以上も下落するという「大火事」に発展してしまったのである。

 この現象は我々が経済学の教科書で習う経済原則とはまったく異なる「異常現象」とも呼べるものだが、今やこうした金融政策に対してマーケットは期待通りの反応を示さなくなっているのだ。これはあたかも重症患者に対して、痛み止めとしてモルヒネを与え続けても、そのうちその効果はどんどん減じられてしまい、治療方法としての「打つ手」がなくなる現象と似ているともいえる。

 今回の円高と株価下落は、これまで政府日銀が繰り出してきたマネーによる景気刺激に対する限界を、いみじくも露呈したものといえるかもしれない。つまり、金融政策がもはや正常に機能しないほどに、「引きずり回されてしまった」日本経済に対して、今厳しい「反作用の嵐」が吹きつけているのだ。

「決定的に欠けている」ポイント


 さて、こうした状況のなか、「金利がマイナスになったのだから、実物資産、不動産に追い風になるだろう」との、なんとも能天気な言論が目につき始めた。