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榊淳司「不動産を疑え!」

住宅ローン&家購入で失う、人生の自由と選択肢…仕事や学校選びに甚大な制約

文=榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト
住宅ローン&家購入で失う、人生の自由と選択肢…仕事や学校選びに甚大な制約の画像1「Thinkstock」より

 日本国憲法の第22条には、以下のように書かれている。

「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」

 日本人は他人の迷惑にならない限り、どこに住んでもいいのである。しかし、この「居住の自由」を謳歌している人がそれほど多いとは思えない。なぜなら「東京・青山に住みたい」と思っても、多くの人は経済的に青山には住宅を買えないし、借りる場合でも家賃水準がバカ高い。

住宅ローン&家購入で失う、人生の自由と選択肢…仕事や学校選びに甚大な制約の画像2

 しかし、長い人生で「ほんの1年だけ」と考えれば、可能である人が多いのではないか。500万円の貯金をはたいて、月額家賃40万円のマンションに1年だけ住んでみる、といった選択肢があってもいい。あるいは、「海の傍に住みたい」と考える人も多いだろう。鎌倉の由比ガ浜に近い場所に3LDKを借りるのなら、家賃は40万円もかからないだろう。「会社に遠いから2年間だけ住む」という選択肢もあり得るはずだ。

 しかし、現実にはそんなことをする人はほとんどいない。結婚して子どもが生まれると、保育園や幼稚園、そして学校の問題がある。「できれば転校させたくない」とは、親なら誰しもが考えること。

 しかし、せっかく入学させた地元の公立校で子どもがいじめにあう可能性もある。そういう時に、「それじゃあ転校させよう」という選択肢は取りにくい。なぜなら、学区外の公立校に通わせるのは手続きが面倒だし、いじめっ子は同じ通学区内に住んでいる。子ども同士なら外で顔を合わせることもあるだろう。

 そういう場合、家族ごと引越してしまえば問題は解決する。

 しかし、住宅ローンを抱えているとこれがまた面倒だ。2軒目のマイホームをやすやすと買えるほど経済力のある人はごく少数だ。買い替えるには、自宅を売らなければいけない。何よりも、住宅ローンの残高以上の金額で売れるだろうか。

転職の妨げに

 次に、新しい自宅を買う場合にもローンを使うことになりそうだ。今の自宅が売れることを条件にする「買い替え特約」で、次の住宅の購入契約を結ばねばならない。

 実は、この「買い替え特約」条項を入れた売買契約を、不動産会社は極端に嫌がる。なぜなら、売主の思い通りの金額で売れなくて、結局売買契約がご破算になる確率が高いからだ。極端な話、新築マンションを買い替えで購入する場合は、不動産会社に「売ってもらえない」可能性も高い。

榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト

榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト

不動産ジャーナリスト・榊マンション市場研究所主宰。1962年京都市生まれ。同志社大学法学部、慶應義塾大学文学部卒業。主に首都圏のマンション市場に関する様々な分析や情報を発信。
東京23内、川崎市、大阪市等の新築マンションの資産価値評価を有料レポートとしてエンドユーザー向けに提供。
2013年4月より夕刊フジにコラム「マンション業界の秘密」を掲載中。その他経済誌、週刊誌、新聞等にマンション市場に関するコメント掲載多数。
主な著書に「2025年東京不動産大暴落(イースト新書)※現在8刷」、「マンション格差(講談社現代新書)※現在5刷」、「マンションは日本人を幸せにするか(集英社新書)※増刷」等。
「たけしのテレビタックル」「羽鳥慎一モーニングショー」などテレビ、ラジオの出演多数。早稲田大学オープンカレッジ講師。
榊淳司オフィシャルサイト

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