2016年に入り、世界同時株安など世界経済の縮小がささやかれている。そして、それは日本の消費税増税にも大きな影響を与えつつある。
周知の通り、安倍晋三政権は17年4月から、消費税を現行の8%から10%に引き上げる予定だ。これは、14年4月の5%から8%への増税に続く流れである。
しかし、8%に引き上げたことによって、日本経済は消費が落ち込み、安倍首相自身も「消費税を8%にしなかったら、アベノミクスはもっとうまくいっていただろう」という旨の発言をしている。また、首相の側近である菅義偉官房長官も、最近は消費税増税について否定的な言動が目立つ。
筆者が伝え聞くところによれば、首相官邸側は「できる限り、消費税増税はしたくない」と考えているようだ。前述したように、前回の増税によって日本の景気回復が遅れ、アベノミクスの先行きが不安定になりつつあることは間違いないため、官邸側の判断もうなずける。
そして、安倍首相と日本銀行が目標としている物価上昇率2%には、現時点で到達できていないどころか、逆にデフレがいまだに改善されていない状況だ。
15年4月、安倍首相は「来年の2月までに物価目標2%を達成できないのであれば、アベノミクスは失敗であったと言わざるを得ない」という旨の発言をしている。
つまり、現状を客観的に見る限り、アベノミクスは事実上の失敗に終わったといえるわけだ。そして、そんな状況下において「では、消費税の増税はどうするのか」という問題が、自民党内で大きくクローズアップされている。
消費税増税は延期、衆参ダブル選挙か
現在、民主党は維新の党との新党設立に向けて動いているが、枝野幸男幹事長は消費税増税に対して反対を表明している。
そもそも、消費税の増税は民主党政権下で決められたものであり、当時与党だった民主党、野党だった自民党、公明党の3党合意に基づく政策である。そういった経緯を踏まえて、「民主党は、消費税増税に反対しない」という前提があったわけだが、これが根底から覆された。
そして、3党合意に参加していない維新の党側は、当然ながら増税に反対するだろう。また、現在は共産党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたちなどが「野党連合」というかたちで選挙協力すると報じられているが、野党連合が実現した場合、「消費税増税に賛成です」というのはあり得ない。
共産党はかねてから消費税増税に否定的であり、社民党も同様である。政策合意をする上で「消費税増税に反対」というのは彼らの命題であると同時に、選挙戦術として合意できるのは、その部分以外にないと思われる。
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