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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

トランプの差別・過激発言に狂喜乱舞する米国民の深い闇 まさに米国民の本音だった!

文=渡邉哲也/経済評論家
トランプの差別・過激発言に狂喜乱舞する米国民の深い闇 まさに米国民の本音だった!の画像1ドナルド・トランプ氏(「Wikipedia」より/MichaelVadon)

 アメリカ大統領選挙の混迷が、世界的な注目を集めている。現在は民主党・共和党ともに指名候補を決める段階だが、民主党では前国務長官のヒラリー・クリントン氏、共和党では不動産王のドナルド・トランプ氏が本命視されている。

 特に台風の目といわれているのが、トランプ氏だ。予備選挙・党員集会のヤマ場である3月1日の「スーパーチューズデー」において、トランプ氏の圧勝が伝えられたことは周知の通りである。

 CNNなどのリベラル系メディアは、必死にトランプ氏を叩き、いわゆるネガティブ・キャンペーンを繰り広げている。しかし、それが有権者に響かないどころか、逆にトランプ氏の人気を高める結果につながっているのは皮肉だ。

 CNNは、実に報道の約7割をトランプ氏批判に割いており、連日のように“トランプ叩き”を展開している。そして、日本のメディアはそれを引用するかたちで、トランプ氏の過去の問題発言や過激発言などを取り上げている。

 しかし、この「問題発言」というのは、「誰にとっての“問題”であるか」ということを考える必要がある。確かに、トランプ氏の発言は過激でストレートなものが多い。しかし、実際にはアメリカ国民がそれらを「問題」だと認識していないため、本当の意味での「問題発言」にはならず、メディアのネガキャンも効かない。その裏付けとして、トランプ氏の支持率は共和党トップである。

 例えば、トランプ氏は昨年12月に「イスラム教徒の入国を禁止する」と発言して、世界的に物議を醸した。各メディアは、これを「大きな問題発言」として取り上げたが、意外にも、世論はさほど反応していない。逆に、トランプ氏の支持率を高めることにつながり、だからこそ、今の人気があるわけである。

 なぜ、そのような現象が起きているのだろうか。それは、アメリカの有権者の中でイスラム教徒は0.7%程度といわれており、残り99.3%の票にはまったく響かないからである。

 また、2001年9月11日の同時多発テロ以降、アメリカ人の間では、イスラム教徒に対する「潜在的な嫌悪感」「表面化しない偏見」など、鬱屈した感情が溜まっている。トランプ氏の発言は、そうした国民感情を扇動するかたちになったため、意外なほどの人気者になっているわけだ。

トランプ発言が浮き彫りにする、アメリカ社会の闇

 また、トランプ氏は「不法移民を強制送還する」「メキシコ国境に壁をつくる」とも宣言しており、ヒスパニック(中南米系)層からは反感を買っているといわれてきた。

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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