子供を幼稚園に通わせるなら島根県、山形県、愛媛県、秋田県、幼稚園に勤務するなら東京都、神奈川県――。
非常に不謹慎な話だが、全日本私立幼稚園連合会が発表した「平成27年(2015年)度 私立幼稚園 経営実態調査報告」を分析したら、そんな結果が出てきた。
東京をはじめとする首都圏の待機児童問題が深刻化するなか、2月、 「不倫してもいいし賄賂受け取るのもどうでもいいから保育園増やせよ。オリンピックで何百億円無駄に使ってんだよ」「保育園作れよ」などと書かれた匿名ブログが国会でも取り上げられるなど話題を呼んだ。これを受けて保育制度の充実を推進しようとする動きも高まるなか、同調査結果をみると、幼稚園という教育機関を通じて見た少子化の実態は、政府が行う少子化動向の調査とは違った側面が垣間見える。
少子化の直接の影響を受けるのは、幼稚園という産業だろう。同調査によると、15年度の全国平均園児数(1幼稚園当たりの園児数)は156.2人で、定員充足率は74.7%と過去10年間で最低を更新した。
学年別でも3歳児平均数48.8人、4歳児平均数53.2人、5歳児平均数54.2人とすべての歳児で最低を更新している。結果的に、平均学級数(1幼稚園当たりの学級数)も6.3学級となり、同様に最低を更新した。想像以上に少子化は進んでいる。
では、各都道府県の幼稚園の実態を見てみよう。文部科学省の学校基本調査・速報値(15年5月1日現在)では以下のようになっている。
<幼稚園数の多い都道府県>
東京都:840
神奈川県:665
埼玉県:563
<幼稚園数の少ない都道府県>
徳島県:12
島根県:15
鳥取県:27
幼稚園数が少ない県は、いずれも人口減少県の上位にくる県で、加えて、高齢化が進んでいる県でもある。それにしても、幼稚園数の多い1位の東京都と少ない最下位の徳島県とでは70倍の格差がある。では、1幼稚園当たりの平均園児数ではどうか。