NEW
渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

世界の「中国包囲網」が本格化…他国領土侵略行為を協調して排除決定!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
伊勢志摩サミット、新興国首脳ら招き拡大会合(写真:代表撮影/ZUMA Press/アフロ)
 本連載前回記事では、5月26、27日に三重県で行われた第42回主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が事実上の「中国包囲網サミット」であったことを、「G7伊勢志摩首脳宣言(骨子)」を読み解きながら解説した。


 前回は主に「3 世界経済」について論じたため、今回は「4 政治外交」を見ていきたい。

 まず「(1)テロ・暴力的過激主義」がある。これは、「テロ対策に関し、国際社会において主導的役割を発揮」という文言の通りだが、金融制裁などを含めてテロ撲滅を徹底するというものだ。

 詳細は拙著『パナマ文書』(徳間書店)に譲るが、マネーロンダリング、テロ、BEPS(税源浸食と利益移転)というのはバラバラではなく、根源的にはひとつの問題である。

「(6)海洋安全保障」に目を移すと、「国際法に基づいて主張を行うこと、力や威圧を用いないこと、紛争解決には、仲裁手続を含む司法手続によるものを含む平和的手段を追求すべきことの重要性を再確認。東シナ海・南シナ海の状況を懸念し、『海洋安全保障に関するG7外相声明』を支持」とある。

 ポイントは、「南シナ海」だけでなく「東シナ海」にも言及している、つまり尖閣諸島も含んでいることである。周知の通り、中国は南シナ海で人工島を建設して国際ルールを無視するかたちで領有権を主張、東シナ海においても尖閣諸島の領有権をめぐって日中の対立を招いている。これも、名指しこそしていないが、中国を牽制する意味合いがあることは明らかである。

 また、サミット2日目の27日に、G7(先進7カ国)と東南アジアなど7カ国の首脳らによる拡大会合が開かれ、アジアの安定と繁栄などについて話し合われた。

 参加国であるインドネシア、スリランカ、パプアニューギニア、バングラデシュ、ベトナム、東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国のラオス、アフリカ連合(AU)議長国のチャドは、地政学上、中国をグルッと取り囲むような国々だ。

 安倍晋三首相は、翌28日の拡大会合参加国首脳との個別会談で、ベトナムと「南シナ海の中国進出阻止」について協力体制を確認、他国とも南シナ海や海洋法について話し合っている。

 8月には、日本が主導する第6回アフリカ開発会議(TICAD6)がケニアで開催されるが、これも中国への対抗策ではないかといわれている。

 中国は金にものを言わせるかたちでアフリカでの影響力を強めており、2015年12月には「今後3年間で、インフラ投資などに600億ドル(約7兆3600億円)を拠出する」と発表している。

 これまで日本で行われてきたTICADの初のアフリカ開催は、こうした中国の動きを牽制するとともに、アフリカでの日本の存在感を強めていくための外交政策の一環だろう。

『パナマ文書:「タックスヘイブン狩り」の衝撃が世界と日本を襲う』

世界中に衝撃を与えている「パナマ文書」。その膨大な取引データの暴露は、個人や企業のみならず、社会や国際情勢を一変させるほどの破壊力がある。パナマ文書の正体から、今後の世界と日本に与える影響までを完全分析!

amazon_associate_logo.jpg