今回は、「体温」の話で盛り上がっています。“極論君”は「体温は高いほうが健康なのだ」という主張です。“非常識君”は、「発熱は体に良くないので、熱が出るとすぐに解熱剤を飲んで下げる」という主張です。極論君は日頃の体温、非常識君は発熱時の体温の話をしているため微妙にかみ合っていないのですが、日常の会話なんてそんなもんですよね。
ここで“常識君”が確認の質問をします。
「お2人とも体温といいますが、どこで測る温度を体温とするのですか?」
極論君も非常識君もキョトンとしています。
「もちろん体温計を脇の下に入れて測った温度ですよ。そして最近の体温計は脇の下に入れると1分ぐらいで結果が出るでしょ」
確かに、風邪などの治療で病院に行けば体温を測定されます。そして看護師からは脇の下で測ることを通常勧められます。以前は体温計を10分近く脇の下に入れていました。そしてこれ以上上昇しない温度を体温と認識していたはずです。
ところが、なぜ今は1分足らずで結果が判明するのかというと、最初の温度とその後の温度の上昇具合から定常状態になる温度を推測しているのです。ですから、1分で測定可能なのです。その分、少々曖昧な可能性があります。ですから、最近の体温計で「ピー」と鳴ったあとも脇の下に入れておくと、今度は定常状態になったときの温度を表示してくれます。実は良くできているのです。
脇の下に挟んで定常状態になるということは、皮膚表面の温度ではなくて、実はもっと体の奥の温度を計測していることになります。そもそも重要なのは、心臓や脳など体の中心の温度です。たとえば心臓の温度は、カテーテルを直接血管から心臓に挿入して測定することもできますし、食道は心臓の真後ろにあるので食道を介して心臓の真後ろの温度を測ることもでき、より適切な本当の体温(深部体温)を測定可能です。