カロリー偏重の栄養計算はナンセンス…厚労省推奨の食事もバランスがメチャクチャ!
この連載の読者のなかには、栄養士や管理栄養士の方もたくさんいらっしゃいます。そういう方々の反応は二分されます。「自分たちが学んできたことと違う。だからここに書かれていることは信用できない」と考える派と、「こんなことは聞いたことがなかった。こんな情報があったのならもっと早く知りたかった」と考える派です。
どちらの派に属するかは別として、栄養士や管理栄養士には優秀な方が多いことは事実で、さらにその仕事は過酷を極めることもあります。その割には、彼ら、彼女らに対する世間的な評価は低く、片隅に追いやられている感は否めません。一般の方はあまりご存じないかもしれませんが、例えば社員食堂では、まともにデスクすらないケースも多く、病院などであてがわれる部屋は地下で窓もなく狭いケースも多々あります。
そこでどんな仕事をしているかというと、主にカロリー計算を中心とした栄養計算です。ほとんど無意味なことです。実は、カロリーは栄養とはなんの関係もありません。食品が持っている熱量を表したものです。それは、実際に食品を燃やし、1リットルの水の温度が何度上がるのかを計って、それをその食品が持っている熱量(カロリー)と決めているのです。同じことが私たちの体の中で起こるわけでもないのに、なんの意味がある数値でしょうか。
同じ一杯のごはんを、Aさんが食べた場合と、Bさんが食べた場合では、消化のされ方も違えば、代謝のシステムも違います。つまり、体の中での使われ方は千差万別のはずなのに、誰が食べても同じカロリーで計算して「多い、少ない」と言っていること自体がナンセンスです。
カロリーよりも栄養素で判断すべき
カロリーよりも、むしろN/Cレートを考慮すべきです。N/Cレートとは、食品が持っている栄養素の密度のことで、Nは栄養素という意味のニュートリエントを意味し、Cはカロリー、レートは割合、比率を表します。私たちは、食事をするときにこのN/Cレートを考慮のうえ、栄養素の密度の濃い食品を選択したほうがいいのです。
N/Cレートが高ければ、栄養素の密度が濃いということになります。例えば、お米であれば白米より玄米のほうがN/Cレートが高く、野菜であれば皮付きのまま料理したほうがN/Cレートは高くなります。砂糖にはカロリーはありますが、栄養素をまったく含んでいないのでN/Cレートは最低の食品といえます。反対に、海藻類などはカロリーはほとんどないにもかかわらず栄養素はたっぷり含まれているので、N/Cレートが高い食品です。