レンタル大手TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営する「ツタヤ図書館」として、昨年3月に新装開館した宮城県多賀城市立図書館で、その運営手法にさまざまな問題点があることを、本連載で指摘している。今回は、同図書館で開館に向けて購入を検討した3万5000冊(最終的に購入したのは3万1000冊)のうち、新書2万1000冊の選書リストを分析したので、その結果を紹介したい。
2月15日付当サイト記事『ツタヤ図書館、「新刊」選書内に大量の中古本混入の疑惑…選書リストに価格表記なし』において、新刊選書リスト中に、中古本が混入している可能性を指摘した。その根拠はISBN(図書番号)だ。ISBNは、新刊であれば13ケタであるはずだが、選書リストには2006年までに使われていた10ケタのものが多数存在していたのだ。
その疑惑について確認するために、選書リストのISBNを細かく見ていきたい。前出の記事内でも紹介したが、出版業界には以下のような事情がある。
・刊行が06年以前の本については、10ケタISBNが記載されたままの本も、市場にはまだ流通している。そのため、書店や取次では、新ISBNと旧ISBNの両方から探せるようにしている。
・アマゾンなど新刊と中古本の両方を扱う事業者は、すべての商品に新旧ISBNを併記するスタイルを採用しており、刊行が07年以降のものにも旧ISBNをつけている。特にアマゾンでは旧ISBNを自社独自コードとして使用しているため、アマゾンへ出店する事業者も同様の処理をしている可能性がある。
つまり、多賀城市立図書館の新刊リスト中に10ケタのISBNがあること自体は、おかしくないといえる半面、アマゾンなどに出店している事業者が図書館選書に関与している可能性が浮上してくる。
選書リストの不可解なコード
もうひとつ筆者が着目したのは、全11回の選書リストのなかでも「第8回選書リスト」にある、ほかの回ではみられない決定的な特徴だ。
ISBNの末尾は、「チェックデジット」と呼ばれる検算数字となっている。特定の計算式によって計算した結果を表しており、07年以降の13ケタとそれ以前の10ケタとでは、末尾の数字も変わってくる。
この検算数字が「10」となる時に表示されるのが「X=テン」だ。だが、07年以降は「X」表記が完全に廃止されたため、末尾に「X」が付いている本は、06年以前に刊行された書籍といえる。