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中高年男性の6人に1人が「隠れ更年期障害」…コレステロールを減らすと悪影響の可能性

取材・文=名鹿祥史
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男性ホルモン低下はストレス、睡眠不足などの生活習慣から

 メンズヘルスクリニック東京の男性更年期専門外来では、血液検査や超音波骨密度検査などほかにも、PWV検査(血管年齢、動脈硬化度検査)、2D:4D検査(両掌のコピーを撮り、男性ホルモンとの関係性を診る)、エレクトメーター検査(夜間睡眠時勃起力を測定)などで、「身体的」「精神的」「性的」側面から男性力を数値化することで悩みの原因を追究、結果を基に診察する。
 
 男性更年期障害を引き起こすテストステロンについて、小林氏は次のように説明する。

「テストステロン値は、もともと高い人と低い人がいて、低いから更年期障害というわけではないんです。正常域というのがその人それぞれにあって、そこが落ちていないかを調べることが重要です。基本的にはテストステロンは基本的に加齢と共に落ちてくるので、それが極端に落ちている場合に関しては、ホルモン補充療法を施します。ただし、テストステロンの低下に関しては、日々の生活習慣も非常に大きな影響を及ぼします。ストレス、睡眠不足、不規則な食事でもテストステロン値は低下してしまいます」

コレステロールに対する正しい認識がテストステロンの低下を防ぐ

 実は、テストステロンの原料となるのはコレステロールだ。コレステロールというと、つい体に悪いもののようにとらえがちだが、これに関しても小林院長は決して悪いものではないと話す。

「コレステロールは体内で複雑なプロセスを経てテストステロンに生合成されています。原料がなかったら製品はできません。つまり、コレステロールをある程度上げる食事を普段からしておくことが大切なのです。コレステロールを下げろ下げろという風潮はいかがなものかなと思っています」

 このように、コレステロールに対する正しい認識を持つことの重要性も指摘する。ホルモン補充療法についての誤解もあるという。

「女性にホルモン療法をすると乳がんの発症率が高まるといわれていたり、男性だと前立腺がんが増えるのではないかなどといわれています。前立腺がんの治療に男性ホルモンを抑えるような薬もあるわけです。しかし、前立腺がんそのものを引き起こすのはテストステロンではありません。確かにがんを成長させはしますが、テストステロンを補充すると、がんをつくるというのは違うのです」(同)

判別が難しい男性更年期とうつ病

 男性更年期専門外来には、うつ病を否定して受診される人もかなりいるという。

「更年期を恐れるというよりは、うつ病の自分を認めたくない、だからむしろ更年期の可能性を調べに来る人が多いでしょうか。でも、更年期は性ホルモンの問題、うつ病は脳の神経の状態からくるもので、医学上はまったく違うのですが、その線引きは非常に難しい部分もあります。テストステロンの減少でうつになりやすいというデータもあります。ホルモンを補充して著効がない場合は抗うつ剤を使うということもあります。とにかく不調を感じたら一度相談に来てほしいですね」(同)

(取材・文=名鹿祥史)

小林一広(こばやし・かずひろ) メンズヘルスクリニック東京院長
北里大学医学部卒業。同大学病院にてメンタルヘルスを中心とする医療に従事する。
その後、医療社団法人ウェルエイジングを設立。頭髪治療専門の城西クリニックを東京及び福岡に開院すると共に国内初の総合アンチエイジングセンター『AACクリニック銀座』を2006年3月に開院。2014年6月にメンズヘルスクリニック東京開設、現在に至る。
精神科医としての経験を生かし、積極的に心身両面からの治療に取組んでいる。

精神保健指定医、医療法人社団ウェルエイジング 理事長
聖マリアンナ医科大学幹細胞再生医学寄附講座講師

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