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榊淳司「不動産を疑え!」

年収1千万でもマンションを買えない時代…もう私たちは異常な高値での購入はやめよう

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「Thinkstock」より

 会社員にとって「年収1000万円」というのは、ひとつの目標だ。年末に渡される源泉徴収票を見て、支給総額が初めて1000万円を超えていたときの感動はひとしおのはずだ。
 

『2025年東京不動産大暴落 』(榊淳司/イースト・プレス)
 しかし、今の東京都心では年収1000万円でもまともな住まいを購入することは難しくなった。
 
 この現象を解くキーワードは「不自然」と「不健全」。たとえば、家族4人でゆったり暮らすには85平方メートル程度の広さが必要だ。この広さの新築マンションを山手線の内側で購入するとなると、今の市場感覚では1億1500万円くらいが必要となってくる。仮に、年収1000万円の会社員が年収と同じ1000万円の自己資金を持っていても、その購入には無理がある。その人の属性にもよるが、ローンは組めないだろう。これはいったいどういうことか?

不自然な力


 アベノミクスと呼ばれる経済政策が始まったのは2013年。その頃から東京の都心では不動産価格の上昇が始まった。やがてその波は都心から城南エリアに広がる。同年の9月に東京での五輪開催が決まるや、埋立地である湾岸エリアにも波及した。

 その後、異次元金融緩和や円安による外国人の不動産爆買い、さらには相続税対策の不動産投資などが重なって、都心のマンション価格はどんどん上昇。アベノミクスが始まる前の12年当時と比べると、マンションの価格は実感として1.3~1.5倍にハネ上がった。

 まだ民主党(現民進党)政権だった12年、港区内新築マンションの相場観は、超一等地でもない限り坪単価で350~400万円台前半だった。文京区なら300~350万円。仮に坪単価350万円だとすると、85平方メートルのマンションなら販売価格は9000万円。年収1000万円のサラリーマンが同じく1000万円の自己資金で購入する場合、多少無理目だがなんとか購入は可能だ。ローンも下りる可能性が高い。ただ、私はそういう買い方は勧めないが。

 しかし、年収1000万円といえば全男性会社員の上位6%に入る、いわば「勝ち組」。その勝ち組でさえ山手線内でマンションを買えない、というのはどういうことだろう。

 これは、明らかに不自然な力が働いている異常現象である、と私は考える。不自然な力とは、まずは史上最低水準の低金利。銀行経営まで危うくしているこの低金利は、不自然を通り越して不健全だ。

 次に、相続税の控除枠を厳しくしたにもかかわらず、不動産の評価基準を低く抑えたまま放置している不自然な制度。これももはや不健全である。相続される財産が金融資産であろうと不動産であろうと、市場の認める価値で評価すべきなのだ。

 外国人の不動産購入を無制限に認めているのも、不自然だ。外国人が居住のために所有権を得ることに規制を設けるべきではないが、投機目的の購入にはなんらかの制限を設けてもしかるべきであろう。日本の不動産市場を外国人の思惑によって混乱させてほしくない。

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