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クロマグロ、食卓から消える可能性…日本の姿勢が漁獲規制の交渉を左右する

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「Thinkstock」より

 日本人が約8割を消費する太平洋クロマグロ。1961年をピークに、乱獲などにより資源量は大きく減少。2014年には国際自然保護連合(IUCN)から絶滅危惧種の指定【註1】も受けているが、その資源管理について話し合う国際会議【註2】が28日から韓国・釜山で始まった。米国や韓国、台湾などが参加するなか、日本には主導的な役割が期待される一方、先日、国際合意に基づく漁獲上限を超過したことで国際社会から厳しい目も向けられている。

 その会議において、日本は主に以下2つの方針を打ち出している。

・長期的な管理目標の導入
34年までに、初期資源量(漁業開始前の資源量)20%までの回復を目標とするが、社会経済的な要素を考慮し、20%目標が適切でないと判断された場合、別の目標を設定する。

・短期的な管理目標の達成確率に伴う漁獲枠の増減
24年までに、歴史的中間値(これまでの資源量の中間値)にまで資源回復する確率60%以上を目標に、60%を下回る場合には緊急の漁獲制限を行う一方、65%を超える場合には漁獲制限を緩和する。

 長期管理目標の導入に関しては、これまで日本が頑なに反対を続けてきた経緯を踏まえれば、国際世論の高まりに抵抗しきれなくなったとも考えられるが、資源回復の観点からは大きな前進だ。

 一方、管理目標の達成確率に伴う漁獲枠の増減は、太平洋クロマグロの資源量が回復傾向にあるととらえる日本としては、漁獲量の上限を変えられる方式に見直し、回復傾向が確認されれば、漁獲の上限を引き上げることができるよう、漁獲に関与する多くの国内漁業者を配慮し、将来的には規制が緩和できるようにしたい狙いがある。

 しかし、他の参加国、とりわけ厳しい資源管理を求めてきたアメリカなどは、不確定な管理目標の設定や目標達成前の漁獲上限引き上げには強く反発することが予想され、日本の提案に理解が得られるかは不透明な情勢にある。

「第二の鯨」


 民間団体は日本の提案をどのようにとらえているのか。米国の民間団体、ピュー慈善財団【註3】は、「日本が長期管理目標の点で歩み寄ったことには一定の評価をしている」としつつも、日本が34年を確定的な期限としていないことに大きな懸念を示している。また同時に太平洋クロマグロの初期資源量20%への回復を、「環境保護における持続可能な資源の回復という意味合いだけではなく、資源を取り巻く漁業関係者の生活基盤の安定という意味における持続可能性の実現といった観点から重要な目標だ」と述べ、「長期管理目標の合意が太平洋クロマグロの資源管理に向けた最初のゴールだ」と国際会議での合意に期待を示している。その他、WWFジャパン(世界自然保護基金ジャパン)【註4】は、「長期目標への合意ができず、管理措置への遵守徹底がなされていない現状では、太平洋クロマグロを漁獲対象とする商業的漁業は、一時的に停止せざるを得ない」、グリーンピース・ジャパン【註5】は「太平洋クロマグロを確実に健全なレベルまでに回復させる長期計画が導入されない限りは、すべての商業的漁業を禁止すべき」と厳しい声明を発表している。

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