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午堂登紀雄「Drivin’ Your Life」

ファミリー向けマンション、大余剰時代突入の兆候…賃料&売買価格が大幅下落か

文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役
ファミリー向けマンション、大余剰時代突入の兆候…賃料&売買価格が大幅下落かの画像1「Thinkstock」より

 先日、都心部に持っていたファミリータイプの区分マンションを売却しました。駅徒歩1分の高級タワーマンションだったこともあり、幸いにして購入したときから少し下がった程度の値段で買い手が見つかりました。がっつりローンを組んで自己資金ゼロで購入したのですが、それから10年以上経ち残債もかなり減っていたため、ある程度まとまった現金が手に入りました。

 今回の売却を通じ、出口戦略の重要性について改めて考えさせられました。それは品川にあるマンションだったのですが、2020年の山手線新駅開業や27年のリニア開業など、将来賑わいを見せるエリアになるのではと予想し、しばらく保有するつもりでした。

 にもかかわらず売却に至った経緯は、大きく2つの理由があります。

 ひとつは供給過剰です。前入居者が退去したあと、フルリフォームしたにもかかわらず、内見の問い合わせが少なかったことがきっかけでした。調べてみると、考えることは不動産デベロッパーも同じのようで、近隣にはたくさんの新規大規模マンションの分譲計画が目白押しなのです。

 また、数年前の品川近辺の開発ラッシュ時に分譲されたマンションで、時間が経過し賃貸に出される物件も出てきています。これらは自分が所有しているのと同じファミリータイプですから、直接的な競合が増えることを意味します。

 さらに賃貸というくくりで需要を見ると、この物件の周辺だけではなく、勝どき、晴海、豊洲、月島、東雲といった湾岸エリアも競合となるようです。が、こちらもタワーマンションの建設ラッシュで、すでに完成した物件もやはりちらほら賃貸に出されるようになってきています。

 現在はちょっと割高感が強く、今住宅ローンを組んで購入した人のなかには、将来もし金利が上昇したとき、返済が苦しくなって売りに出してくる可能性もあります。中国人投資家が買っていた湾岸のタワーマンションも、東京オリンピック前に利益確定で市場に放出されるのではという話も聞こえてきます。そしてダメ押しは、そのオリンピックで晴海に建設予定の選手村が、その後はマンションとして分譲されることですが、その数およそ5,000戸。

 もっとも、もし自分が持っているのがワンルームマンションなど単身者向けであれば、ワンルーム規制で供給が少ない23区内は賃貸需要も期待でき、「まだ売らない」という判断をしたかもしれません。

 しかし、ファミリータイプのマンションは、近い将来は賃貸にしても売買にしても供給過剰になる可能性が高く、これでは賃料も売買価格も下落圧力が高まり、苦戦するのではないか、と考えました。

午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

 1971年、岡山県瀬戸内市牛窓町生まれ。岡山県立岡山城東高等学校(第1期生)、中央大学経済学部国際経済学科卒。米国公認会計士。
 東京都内の会計事務所、コンビニエンスストアのミニストップ本部を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして勤務。
 2006年、不動産仲介を手掛ける株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。2008年、ビジネスパーソンを対象に、「話す」声をつくるためのボイストレーニングスクール「ビジヴォ」を秋葉原に開校。2015年に株式会社エデュビジョンとして法人化。不動産コンサルティングや教育関連事業などを手掛けつつ、個人投資家、ビジネス書作家、講演家としても活動している。

Twitter:@tokiogodo

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