3月12日、森友学園への国有地貸付・売却契約に関する財務省内の決裁文書が、14文書・約300カ所にわたって書き換えられていたと朝日新聞が報じ、その後、「書き換え」どころか「改ざん」の事実が明らかになった(表1)。
【表1:削除されていた主な記述】
政治家の関わり :森友学園前理事長の籠池泰典氏は、日本会議の大阪の代表。日本会議と連携する日本会議国会議員懇談会では、麻生太郎財務相が特別顧問、安倍晋三首相が副会長に就任している。
安倍昭恵氏との関係:昭恵氏が「いい土地ですから進めてください」と発言(森友側の発言として)。
事前の価格交渉 :価格等について協議した結果、森友側が買い受けることで合意。
特別扱い :本件の特殊性を踏まえ、近畿財務局(財務省)と大阪航空局(国交省)で協議。
:貸付処理は特例的な内容
また決裁文書の改ざんにかかわったとされ、死亡した近畿財務局の担当者は、書き換えは「財務省本省の指示」によるとのメモを残していたと読売新聞で報じられている。さらに本省の国有財産係長も1月29日に死亡していたことが判明した。
安倍首相による国家の私物化の下、官僚たちが次々と犠牲になっている。財務省の責任者である麻生財務相だけでなく、安倍首相や石井啓一国土交通大臣の辞任はもはや避けがたい。
「昭恵氏」の名前の削除
改ざんでもっとも注目されたのは、昭恵氏に関連した記述である。「普通財産の貸付けに係る特例処理について」(平成27年4月30日)の決裁原本に記述されていた「(籠池氏は)夫人からは『いい土地ですから前に進めてください』と言うお言葉をいただいた」「(産経新聞社のオンライン記事について)安倍首相夫人が森友学園に訪問した際に、学園の教育方針に感涙した旨が記載」が削除されていたことがわかった。
元財務官僚の山口真由弁護士は出演したテレビ番組『羽島慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)で、「決裁文書という公的文書に、財務省自身が直接聞き取っていない産経新聞の記事などを記載していたこと自体おかしい。財務省本省の役人は、通常ならば、このような記載がなされていれば、近畿財務局の決裁担当者に、電話の向こうで電話機を投げつけて壊すぐらいの出来事である」と発言。また、「サンデー毎日」(毎日新聞出版)紙上でも「これだけ詳細に記しているのは、なぜ『特例的な』契約をする必要があったのかを残しかったたのでしょう」と発言している。