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殺菌剤が基準値超過の輸入大麦が流通…安倍政権、検疫なしで大量輸入の現状を放置

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「Gettyimages」より

 4月3日に農林水産省は、伊藤忠商事が2017年に輸入したオーストラリア産の大麦から食品衛生法の基準値の5倍もの殺菌剤「アゾキシストロビン」が検出されたと発表した。そして、該当する大麦を使ってシリアル商品を販売していた日清シスコは「1日分のスーパー大麦グラノーラ 4種の彩り果実」など計31万5000パックを自主回収。さらに日本ハム子会社の日本ルナは、4月4日に該当する大麦を使っていたヨーグルト製品「アサイーヨーグルトボウル」「グリーンスムージーヨーグルト」計約13万2000個を自主回収することを発表した。

 アゾキシストロビンは1998年に殺菌剤として農薬登録され、2006年に食品安全委員会で安全評価をされている。もちろん農薬なので急性毒性や亜急性毒性を持っており、そのため、基準値0.5mg/kgが設定されている。今回は、この基準値の5倍ものアゾキシストロビンが検出された。

 では、なぜ残留基準値を5倍も上回る高濃度の農薬に汚染された大麦が日本にやすやすと輸入され、それを原料とする商品が市中に流通してしまったのであろうか。今回の発覚は、伊藤忠商事から大麦を購入した西田精麦がそれを原料として大麦フレーク加工品を製造し、そのサンプル提供を受けた会社が検査をして明らかになったものである。偶然見つかったといってもいい。
 
 本来、すべての輸入食品は輸入時に厚生労働省の検疫所において書類審査を受け、その書類がデータベースでチェックされ、必要なものは自主検査が要請され、安全性上リスクのあるものは命令検査が行われ、検査結果が出るまでは輸入を認められないという措置が取られる。また、検疫所は、これまでの違反事例に基づいてモニタリング検査を行っている。

計画輸入制度


 しかし、今回のオーストラリア産大麦は、それらの輸入検疫検査の自主検査及び命令検査の枠外となっている計画輸入制度にのっとって輸入されたものだった。同制度は1986年の中曽根内閣による市場開放行動計画(アクション・プログラム)で導入されたもの。当時、中曽根内閣は経済対策閣僚会議で市場開放の観点から基準・認証制度について全面的に見直すことを決め、米国政府から食品添加物指定要求のあった11品目の食品添加物を一気に新規指定したのである。

 そして、「市場アクセス改善のためのアクション・プログラムの骨格」で輸入検査手続きの緩和が打ち出され、計画輸入制度として「米、麦、大豆、ウイスキー、金属製食器など品質が安定的で、衛生上の問題が少ない食品などが継続的に輸入される場合、輸入の都度の届出を不要とし、1年または3年ごとの届出でよい」としたのである。それにより、1995年には小麦442万トン、大豆312万トンが届出なしで輸入され、現在も、米、麦、大豆などが届出なしで輸入されているのである。

 計画輸入制度による輸入は、届出がないので検疫所は掌握することができず、当然、自主検査や命令検査の対象外となる。今回の件でも、厚生労働省は輸入届出を受けていなかったので、伊藤忠商事と農林水産省の発表まで事態を掌握できず、対応がすべて後手に回った。食品の安全確保の視点で、同制度は大きな問題をはらんでいることが明らかになった。
(文=小倉正行/フリーライター)

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