ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 食材使い回し、批判はおかしい?
NEW
あのニュースをどう読む?メディア読み比べ(12月4日)

とんかつ和幸の食材使い回し問題、どこまで批判されるべき?“悪質さの度合い”の難しさ

文=blueprint
とんかつ和幸の食材使い回し問題、どこまで批判されるべき?“悪質さの度合い”の難しさの画像1「Thinkstock」より

 とんかつ店チェーン大手の和幸商事が11月29日、「恵亭松屋銀座店」などで客が残したキャベツとお新香を再利用していたと発表。第一報を伝えた同日付読売新聞によると、同店ではキャベツとお新香を“取り放題”として提供していたが、キャベツは2005年6月〜10年夏頃に計6回程度、お新香は同店が開店した05年4月下旬からの約1カ月間毎日と、09年春頃〜10年夏頃に2〜3回、客の食べ残しを再度盛り付けて提供していたという。

 第一報の直後から「情報が古く、妙に細かい」として、内部告発ではないかと予想する向きがあったが、事実、11月30日付サンケイスポーツは「報道機関に告発メールが届き、取材を受けた同社の内部調査で発覚した」と報じている。

 ネット掲示板・2ちゃんねるには「偽装より悪質。二度と行かない」「これは風邪とかインフルエンザとか病気がうつるだろ…」など、批判の書き込みが殺到。ネットユーザーの間では、11年に群馬県高崎市内の和幸チェーンの店長が、自身の体の一部を女子高生に露出する動画をツイッターで投稿し、解雇された問題が引き合いに出されるコメントも見られる。

●読売新聞は記事をボツに

「客が箸をつけたキャベツを出していた」というイメージが広がり、批判が集中したこの問題だが、実際には専用の大皿でテーブルごとに提供し、トングなどで取り分ける方式で、“大皿に残ったもの”を再利用していたという。それでも客が“直箸”で取り分けていた可能性もあり、衛生面での懸念や生理的な嫌悪感を覚える人が多いのも事実だが、「このくらい許してやれよ」「まだ食べられる食材を捨てるよりいいんじゃね」との声もあり、「和幸は全店廃業しろ」などの厳しいコメントを寄せられるほど悪質な問題なのか、意見が分かれているようだ。

 この“悪質さの度合い”には、第一報を伝えた読売新聞も悩まされていたようだ。11月29日付J-CASTニュースは「タレ込みで発覚したが、読売新聞が取材した結果、記事をボツにする予定だった」と伝えている。

 記事によれば、和幸商事の担当者に問題の経緯を聞いた読売新聞側は、08年に大騒動を巻き起こした高級料亭「船場吉兆」の牛肉産地偽装や料理の使い回しなどの悪質さと比較すると、問題の質が異なると判断し、記事をボツにすることになったが、和幸商事はそれでも他紙にタレ込みが回ると考え、この機に「一気に膿を出し切ってしまおうと発表することに」したという。

 食の安全、信頼が揺らぐニュースが相次ぐ中で、法律で明確な線引きができない、企業倫理や消費者の感覚という微妙な要素をはらむ問題も増えてきている。“悪質さの度合い”についてはその都度議論が必要になりそうだが、いずれにしても、この機会に食品会社や外食店の膿がすべて出てくることに期待したいところだ。
(文=blueprint)

blueprint

blueprint

総合カルチャーサイト「Real Sound(音楽・映画・テック・ブック)」の運営や、書籍や写真集の発行、オウンドメディアの制作支援など“編集”を起点に様々な事業を行っている。
株式会社 blueprint

Real Sound

とんかつ和幸の食材使い回し問題、どこまで批判されるべき?“悪質さの度合い”の難しさのページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!