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鮫肌文殊と山名宏和、と林賢一の「だから直接聞いてみた」 for ビジネス

ちゃんぽんリンガーハット、深夜料金なぜかかる?「22時以降」は入店時?直接聞いてみた

文=林 賢一
ちゃんぽんリンガーハット、深夜料金なぜかかる?「22時以降」は入店時?直接聞いてみたの画像1長崎ちゃんぽんリンガーハット・東京小平店(「Wikipedia」より/ITA-ATU)

 この連載企画『だから直接聞いてみた for ビジネス』では、知ってトクもしなければ、自慢もできない、だけど気になって眠れない、世にはびこる難問奇問(?)を、当事者である企業さんに直撃取材して解決します。今回は人気放送作家の林賢一氏が、大手外食チェーン・リンガーハットの深夜割増料金に関する疑問について迫ります。

【今回ご回答いただいた企業】
 長崎ちゃんぽんリンガーハット お客様相談室
 
 その地方でしか食べられない名産というのがある。

 例えば、私は中学・高校時代を栃木県・宇都宮市で過ごしたので、餃子にはうるさいほうだと思う。よって、宇都宮以外で販売される餃子は認めない。

 とはいえ、宇都宮駅前に並んでいる、いわゆる観光客用の餃子屋も認めていない。というのも、宇都宮で「餃子を食う」といえば、「近所の餃子屋で買って自宅で食う」ことであり、大半の宇都宮人はそうやって餃子を消費しており、「餃子屋で餃子を食べる」ということはあまりない。これは実感として感じることである。その証拠に、宇都宮郊外の餃子屋はあまり座席数が多くない。テイクアウトのお客が多いからである。

 よって、東京にある餃子屋には、ほとんど足を向けない。もちろん東京にだって美味しい餃子屋はたくさんあると思うが、そこには「テイクアウト餃子を家で食べる」という宇都宮独特の餃子アウラが感じられないのだ。仕方ない。

 長崎県出身の女の子にそんな話をした後、「長崎ちゃんぽんもそんな感じで、東京にある長崎ちゃんぽんのお店は認められないでしょ?」と聞くと、即答で答えが返ってきた。

 「リンガーハット、超美味しいじゃん」

 え!? なにやら餃子を一丁前に語った自分が恥ずかしくなってしまった。地元の人が言うんだから間違いない。普通に美味しいんだろうなぁ。そしてその子は、こう続けた。

 「リンガーハット、地元のちゃんぽんより美味しいよ」

 まさかの本家越えである。リンガーハットすごいな……。

 その子の偏見があるにせよ、そこまで断言するからには、バリバリの全国チェーンであるリンガーハットの長崎ちゃんぽんは、かなり忠実に地元のアウラをまとっているに違いない。

 それ以来、正直、チェーン店だと馬鹿にしていたリンガーハットにちょくちょく足を運ぶようになった。味については個人差があるだろうから省略するとして、それとは別に気になったことが。

 リンガーハットは深夜営業していてありがたいのだが、「22時からは深夜料金が加算される」問題である。

 なんでリンガーハットだけが深夜料金を取るんだろう? 例えば、コンビニエンスストアは、22時以降も値段は変わらない。22時以降に値段が変わるラーメン屋なんて知らないし、牛丼屋も24時間値段は一緒である。一方、ファミレス。ここだけは22時以降にサービス料を少し取られている気がする。

 ざっと思いつく深夜営業を挙げてみたが、深夜料金を取るのはファミレスくらいだろう。なぜだかファミレスの深夜サービス料には納得感があるが(昔からの慣習だからだろうか)、リンガーハットの深夜料金には違和感を覚えるのは私だけだろうか? うーん気になる。

 そこで、長崎ちゃんぽんリンガーハット お客様相談室に直接聞いてみた。

「なんで22時以降は深夜料金がかかるんですか?」

担当者 誠に申し訳ございません。こちらの深夜料金につきましては、やはりお家賃ですとか、あとは労働基準法によりまして従業員などのお給料についても金額が深夜料金になりますので、誠に申し訳ございませんが、お客様にご負担いただいています。申し訳ございません。

–深夜料金は、どれくらいかかるのですか?

担当者 はい、申し訳ございません。お食事をなさった分のお会計から10%いただいております。

–そうなんですか。例えば、ラーメンチェーン店などでは深夜料金はかからないのに、なぜリンガーハットだけがかかるのでしょうか?

担当者 申し訳ございません。ええ、左様でございますね……。他のお店様ではないところもあるかと思うんですが、申し訳ございません……。夜10時以降は時間給の設定の違いがございまして、社内で検討させていただいた結果、特別な時間帯として取らせていただいているかたちになっております。申し訳ございません。

–以前から深夜料金は加算していたのでしょうか?

担当者 左様でございますね。申し訳ございません。

–「夜10時以降」の基準は、お店に入った時間が10時以降の場合ですか?

担当者 申し訳ございません。ご注文いただく時間帯でございまして、夜10時以降にご注文された商品に関しまして、加算させていただいております。

–例えば、夜10時以降に追加で料理を注文した場合、それだけに加算されるということですか?

担当者 申し訳ございません、左様でございます。

–1分でも過ぎたらアウトなのでしょうか?

担当者 申し訳ございません、何卒、ご了承お願いします……。

 担当の方は終始申し訳なさそうに「申し訳ございません」を連発。この短いやりとりの中に11回もの「申し訳ございません」を織り交ぜてきた。やるな。この「申し訳ございません」連発戦法はかなり有効で、こんなことを聞いてしまったこっちが申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。

 とはいえ、やはり家賃や従業員給料の問題は完全にお店側の問題であり、納得はいかないが、いかんせんあれだけ「申し訳ございません」で押されると気持ちだって萎える。

  というわけで結論。

 この度は変なことを聞いてしまい、申し訳ございませんでした!
(文=酒平民 林賢一/放送作家・脚本)

林 賢一

林 賢一

1979年、五反田生まれ。脚本、構成。学生時代から古舘プロジェクトで修業。参加作品は、『トーキングフルーツ』(フジテレビ・火曜深夜24時25分~)、ドラマ『恋とか愛とか(仮)』(広島ホームテレビ・木曜深夜24時15分~)、舞台『古舘伊知郎トーキングブルース2014』、アニメ『脇役目線』(WOWOW)など。映画監督・入江悠と仲間たちによる映画メルマガ【僕らのモテるための映画聖典】で「映画のカット数を数える」という無謀な企画を連載中。

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