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中沢光昭「路地裏の経営雑学」(1月6日)

実質賃金、20年前と変わらず 一億総“お金使わない”現象を生んだ日本の特殊性と原因

文=中沢光昭/経営コンサルタント
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 それではその老後の収入の柱となる年金制度に対して、国民はどのように捉えているのでしょうか。いくつかのデータを追っていきます。

●年金制度が信頼されない日本

「国民年金被保険者実態調査」(厚生労働省/11年)によると、年金(国民年金第1号被保険者)の滞納者は年々増えています。さかのぼると1996年の10.9%から一貫して上がり続け、11年には26.2%にもなっています。滞納の理由の答えとして、トップは「保険料が高く・経済的に支払うのが困難」が74.3%、「年金制度の将来が不安・信用できない」が10.1%となっています。この「信用できない」という回答は、08年の調査では4.1%にすぎませんでした。

 さらに、年収1000万円以上の人に限定すると、「信用できない」という理由が17.7%に上ります。同じく08年では9.7%でしたが、ここからは意図的に払わないという層がいることが見えてきます。年収200万円以下においても08年から11年においては、4.1%から9.2%と倍増しています。

 驚くべきは、年金の滞納者においても民間保険会社に対して生命保険には月額平均1.2万円、個人年金型保険に同1.4万円払っていることです。収入が低いことなどを理由に年金保険料の支払いを免除されている全額免除者においても、それぞれ1.1万円、1.2万円を払っています。国民年金の保険料は月額1.5万円程度です。

 詳細な説明は省きますが、国民年金は負担金の一部は国が払っており、個人を支援するような仕組みになっています。一方で、民間の生命保険商品には税額控除が少しある程度で、個人から見た直接的な支援はありません。また生命保険会社が莫大な利益を上げているという事実は、加入者が得をしそびれているという穿った見方もできます。

 つまり理論上は国民年金のほうが圧倒的に「割の良い」保険です。健康保険と病気に対する生命保険の比較においても然りです。それでも公的保険商品への支払いは優先されていません。国民にそう思われる国とはなんだろうかと、やや肌寒いデータともいえます。

●実質賃金が20年前と同水準に

「賃金構造基本統計調査」(厚生労働省/14年)によると、同年において一般労働者の平均賃金(42歳、勤続11.9年)は対前年で0.7%下がり295.7万円となっています。驚くべきことは、これが96年時と同水準ということです。96年から今までの動きとして、01年の305.8万円をピークに減少が続き、現在の水準になっています。

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