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鬼塚眞子「目を背けてはいけないお金のはなし」

「親の介護」で権利振りかざし&離職する社員、対応誤り業務混乱&紛争抱える会社激増

文=鬼塚眞子/一般社団法人介護相続コンシェルジュ代表、保険・介護・医療ジャーナリスト

 介護休業制度は、介護する従業員の立場や権利を保護する制度であるが、懸念すべきは、ひょっとして従業員がこうした法律や指針の存在を知らずに、介護離職に追いやられた事例もあるのではないかということだ。企業側の懸念でいえば、こうした法律や指針の存在を知らずに、従業員のために「良かれ」と思って自宅待機にしたことや降格としたことが、違法な不利益取扱いであると指摘され、トラブルを引き起こすといった事態も想定される。

 企業に決して悪意があるわけではなくても、対策が後手に回ってしまったことによって、結果的に介護離職につながるトラブルをもたらすことになれば、企業にとっても従業員にとっても、プライスレスな損失を招くことになる。

 大企業であれば、人事労務の専門部署もあり、企業の労務問題に精通した弁護士や社会保険労務士を顧問に抱えて対応も随時に行えるだろうが、規模が小さい企業ほど、危機感は抱いていても、目先の利益、目前の問題に追われているのが実情だ。

 しかし、中小企業の従業員が辞めてしまった場合の穴の大きさは、大企業とは比較にならない。業種によっては、採用してもなかなか人が集まらない業種もあるし、技術を重んじる企業なら、育成には時間がかかる。

 しかも、介護問題は、いつ誰に起こるか、いつまで続くかが誰にも予想がつかないことが最大の問題でもある。今後は、企業も従業員も、「知ることこそが防衛法の第一歩」と考えることが不可欠になってくるはずだ。

裁判事例を知る

 従業員の介護問題で企業との間で裁判になった事例には、どんなものがあるだろうか。

 企業法務の第一人者として知られ、長年にわたって多数の顧問先企業の立場からさまざまな労務問題を取り扱い、育児介護休業法にも精通する弁護士・公認会計士で税理士でもある鈴木真・真法律会計事務所所長は、「平成18年の通称ネスレ日本事件(大阪高裁平成18年4月14日労判915号60頁)と呼ばれる“配転命令無効確認等請求控訴事件”が挙げられる。これは、従業員側の勝訴で判決が確定した」と説明する。

 事案の概要は次のようなものである。

鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

出版社勤務後、出産を機に専業主婦に。10年間のブランク後、保険会社のカスタマーサービス職員になるも、両足のケガを機に退職。業界紙の記者に転職。その後、保険ジャーナリスト・ファイナンシャルプランナーとして独立。両親の遠距離介護をきっかけに(社)介護相続コンシェルジュを設立。企業の従業員の生活や人生にかかるセミナーや相談業務を担当。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで活躍
介護相続コンシェルジュ協会HP

Twitter:@kscegao

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