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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

ココイチと大戸屋、海外で高級店として大成功!寿司とおにぎりの価格差大?企業海外進出のカギ

文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授

・顧客やネットワーク

 現地在留の日本人や、日本通の現地人を対象にしたビジネスを展開することも可能かもしれません。市場として、あまりに小さすぎるとの意見があるかもしれませんが、在留している日本人の数はアメリカ42万人、中国13万人、オーストラリア9万人となっています。都市ベースで見ても、ロサンゼルス10万人、ニューヨーク9万人、上海6万人、ロンドン4万人といった状況です。こうした都市においては、現地に在留している日本人を対象としたローカルの新聞、雑誌、ウェブサイトなどがあり、大きな広告費を投入することなく、効果的なプロモーションが展開できます。また、現地における日本人のつながりは極めて強く、大きな口コミ効果も期待できます。

・価値

 通常、うどんとラーメンを比較すると、ラーメンのほうが高いという場合が多いと思います。もちろん、ラーメンのほうが一般に原価が高いという理由もあるでしょうが、それ以上に相場というものに左右されているのではないでしょうか。寿司とおにぎりを比較しても、いくら魚貝が高いとはいえ、原価だけを考慮すれば両者の価格差は大きすぎます。やはり、これも相場に大きく影響されているはずです。こうした馴染み深い商品に対しては、相場観といったものが多くの日本人に根付いており、簡単に覆せるものではありません。

 しかし、日本では馴染み深い商品であっても、海外の消費者には馴染みがなく、なんの相場観もないというケースは少なくないはずです。よって、たとえば何万円もする日本酒の販売は日本では難しくとも、高額なワインを愛飲している海外の消費者には受け入れられるかもしれません。

 実際、アジアで成功している外食チェーンの大戸屋は、日本では大衆食堂的な位置づけながら、海外では高級和食として現地ではかなり高価格であるものの、人気を博しています。筆者が訪問した上海のカレーハウスCoCo壱番屋も、高級な外観および内装となっており、高価格ながら好調な客入りでした。

 もちろん、資金や人材など、十分なリソースを有していない中小企業にとって、初の海外進出は高いハードルでしょうが、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の施行に備え、JETRO(日本貿易振興機構)など、国の機関も積極的な支援体制を整備しており、検討する価値は大いにあるテーマだと思います。
(文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授)

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授。1968年、大阪市生まれ。民間企業等勤務後、長崎総合科学大学・助教授、名城大学・教授、神奈川大学・教授、ワシントン大学・客員研究員、デラサール大学・特任教授などを経て現職。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)。著書に、『プレミアムの法則』『「高く売る」戦略』(以上、同文舘出版)、『ITマーケティング戦略』『日本の携帯電話端末と国際市場』(以上、創成社)、『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』『すごい差別化戦略』(以上、日本実業出版社)などがある。

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