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手島直樹「マーケット・インテリジェンスを磨く」

なぜ日本企業はいつもM&Aで「高過ぎる金」払い失敗?日本電産の失敗しない究極手法

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 他社が積極的にM&Aに動いていても、条件が良くなければ、自分は動かないというのが同社の規律です。逆に条件が良くなれば、素早く行動するのでしょう。実際、M&Aの会見では「(成長市場の)産業用モーターで世界首位になるため、あと3社は買収したい」と語っています。

 また、日本経済新聞の記事には以下のような内容が書かれていました。これは非常に印象的です。

「入札には中国企業も参加していた。10年に買収した後の事業運営でエマソンと信頼関係を築いたため、提示額が低い日本電産が落札できたという」

 同記事によれば、この案件はオークションであったこと、そして日本電産の提示額は最高価格ではなかったことがわかります。おそらく、日本電産はオークションであっても保守的にシナジーを見積もり、買収プレミアムを決定したのだと考えられます。それにもかかわらず、買い手がこれまでの信頼関係という価格以外の要因を評価したために、同社が落札できたのです。買い手としての信頼感が、買収プレミアムを下げ、M&A成功の可能性を高めているのです。

選ばれる買い手になる


 日米のM&A巧者に共通するのは、買収価格への規律と買い手としての信頼感だと考えられます。価値に見合った金額を支払い、そして買収した企業を大事に育てる。買収したとたんに、大幅な人員カット、事業の売却、企業文化の否定のようなことが行われれば、いくら高い買収プレミアムを支払ってくれても、まともな売り手は寄ってこないでしょう。

 買収価格の設定が大事だと前述しましたが、それ以上に大事なのが買い手としての信頼感だと思います。価格以外の要因で選ばれる企業になれるかどうか。それがM&A成功のカギなのです。
(文=手島直樹/小樽商科大学ビジネススクール准教授)

●手島直樹
慶應義塾大学商学部卒業、米ピッツバーグ大学経営大学院MBA。CFA協会認定証券アナリスト、日本アナリスト協会検定会員。アクセンチュア、日産自動車財務部及びIR部を経て、インサイトフィナンシャル株式会社設立。2015年4月より現職。著書に『まだ「ファイナンス理論」を使いますか?-MBA依存症が企業価値を壊す』(2012年、日本経済新聞出版社)、『ROEが奪う競争力-「ファイナンス理論」の誤解が経営を壊す』(2015年、日本経済新聞出版社)。


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