ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 違法デモ参加者は飛行機に乗れない?  > 3ページ目
NEW
渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

違法な暴力デモや政治活動の参加者、今後は普通の生活が送れなくなる可能性…銀行口座廃止や飛行機搭乗禁止へ

文=渡邉哲也/経済評論家

経済制裁対象者が載る「SDNリスト」とは

 アメリカに「SDNリスト」というものがある。これは、経済制裁の対象となる人や国、法人のリストであり、アメリカは同リストに記載されている人や団体との取引を禁じている。SDNリストに載っている経済制裁対象者と取引した場合、その企業や個人、国はアメリカおよびアメリカ企業との取引が禁じられるわけだ。

 また、SDNリストは日本の銀行や証券会社でも新規の口座開設などの際の審査に利用されており、リスト掲載者は銀行や証券の口座開設が不可能になっている。現在、日本ではSDNリストに載っている、つまりテロリスト指定を受けているのは指定暴力団だけだが、今後は反基地運動団体など、過激な暴力や威力行為を伴う団体などにも適用される可能性がある。当然、中核派や赤軍派、あるいはオウム真理教など、過去にテロ行為を行った団体も同様である。

 アメリカやヨーロッパ各国では、国内法において、武力行為を伴う妨害活動などはテロ行為として認定されている。そして、そうした行為を継続して行っている団体や組織、その構成員はテロリスト扱いされるのだ。日本はこの問題への対処が甘いため、国際社会からの批判を受けているのである。これを受けて、政府としても「テロ三法」を成立させ、「共謀罪」の成立に向けて動き始めた。また、今後、さらに厳格な国際的なガイドラインとG20声明に合わせた対応が求められることになる。

 現在行われている、沖縄などでの武力や威力を用いた基地妨害活動などは、国際的にはテロ行為に該当する。言論や政治活動の自由はあるが、威力、暴力や破壊活動の自由はないのである。国際ルールに従えば、このような組織や団体、そして、その構成員をテロ指定するのが義務であるのに、怠ってきたわけである。

 しかし、政府としては東京オリンピックに向けてテロ対策を拡充するとしており、国際ルールに合わせた対応を進めるとしているし、世界もそれに向けて動き出しているわけだ。

 そして、一旦テロ指定されてしまうと、銀行口座が凍結され、クレジットカードが使用できなくなり、家も借りられず、飛行機にも乗れない人生が待っていることになる。すでに、暴力団関係者にこれが適用されているが、当然、これではまともな日常生活は営めない。これが、極左暴力集団など破壊活動防止法に基づく公安監視対象者にも適用される日は、そう遠くはないのであろう。
(文=渡邉哲也/経済評論家)

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

●「渡邉哲也公式サイト

●公式ブログ「渡邉哲也(旧代表戸締役)の妄言

●公式メールマガジン「渡邉哲也の今世界で何が起きているのか

Twitter:@daitojimari

『欧州壊滅 世界急変:「英EU離脱」で始まる金融大破局の連鎖』 2016年6月24日、国民投票による英国のEU離脱決定で大揺れとなる世界経済。欧州解体の行方、今後の日本、中国、米国への影響と金融恐慌の可能性は。ブレクジット・ショックの世界を完全分析! amazon_associate_logo.jpg

違法な暴力デモや政治活動の参加者、今後は普通の生活が送れなくなる可能性…銀行口座廃止や飛行機搭乗禁止へのページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , , , , , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!