
コメダホールディングスが1月24日、コメダ珈琲店とは別業態の「コメダ和喫茶(こめだなごみきっさ)おかげ庵」という店を神奈川県横浜市青葉区のあざみ野ガーデンズ内にオープンさせた。同業態で関東初出店のフランチャイズチェーン(FC)店だ。オープン直前の19日には、メディア関係者向けの記者発表会が開催された。
筆者も出席してコメダ関係者に取材するとともに、看板メニューを試食した。その印象を踏まえて、おかげ庵の特徴や今後の見通しを分析してみたい。

「和風コメダ」を掲げ、全席禁煙で訴求
『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(プレジデント社)
現在、国内で730店を超えたコメダ珈琲店に比べて、おかげ庵が1ケタの店舗数にとどまる理由を、コメダ側は「お客様が『和の喫茶店』に対して何を求めているか、時間帯や利用シーンごとに商品や価格、サービス内容などを試しながら、拡大を急がずにじっくりと育ててきたからです」と説明していた。
東急田園都市線・あざみ野駅から続く幹線道路沿いにあるあざみ野ガーデンズは、同駅から徒歩約20分かかるが、敷地内にマクドナルドやスシローなどの外食店やスポーツ施設が入る郊外型商業施設だ。
そんななかでおかげ庵を運営するのは、インターコマース(本社・横浜市、永井哲郎社長)という会社で、神奈川県や千葉県、東京都多摩地区でコメダ珈琲店のFC店を十数店運営する実績を持つ。
筆者は、名古屋市内のおかげ庵を取材したことも、客として店を利用したこともある。その経験から今回、まず目を引いたのは店舗ロゴだった。「おかげ庵」という店名の前に「コメダ和喫茶」を加え、同店を知らない関東の消費者に向けて、コメダの業態店であることを強調したからだ。
座席のソファは座り心地もよく、総座席数は82席と広いが、「全席禁煙」なのも注目点だ。1968年創業のコメダ珈琲店の開業当時、喫茶店利用者の大半は男性だった。当時の成人男性の喫煙率は80%を超えていたが、現在は同30%前後(統計によって異なる)に下がってきている。このようなお客の“たばこ離れ”とともに、禁煙席・喫煙席の比率は逆転したが、セルフカフェ以外の喫茶店は分煙で対応してきた。それをすべて禁煙席としたのは画期的で、女性客や家族客を意識した訴求でもある。
