
国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
毎日開かれていた参議院の予算委員会ですが、森友学園の疑惑のことばかりの質疑でした。なぜ国家予算の話はしないのか、とテレビ中継を見ながら思っていた方もいるのではないでしょうか。きちんと審議しているのか、不安になってしまいますよね。そんな状況でしたが、3月27日に2017年度の予算が成立しました。一般会計の歳出総額が97兆4547億円と過去最大の規模です。これは年々増えていますが、今の子どもたちが成人する頃にはどうなっているのか、ちょっと不安です。
安倍首相の“キレ答弁”は危機管理不足の証拠
さて、森友学園の一連の疑惑ですが、どう決着するのでしょうか。ここまで大きくなってしまうと、予想しにくいですね。この問題がここまで大きくなってしまったのは、政府の初期対応のまずさが原因だと思います。
最初に大きく報道されたきっかけは、国有地の売却リストが公開されたときに1件だけ非公開の物件があったことです。それが、話題になっている森友学園の土地です。ほかは公開されているのですから、みなさんが疑問に思うのは当然です。「安倍晋三首相の関与があったことを隠したかったからでは?」と思われても仕方がありません。
しかし、その疑惑は的外れです。非公開にしたのが財務省側の理由ならともかく、実は森友学園側の希望だったのです。その理由も、産業廃棄物が埋まっていた土地だということを保護者たちに知られたくなかったから、と理事長夫人の籠池諄子氏の証言から明らかになっています。
安倍首相は、早急にそれについて調べ、丁寧に国会答弁をするべきでした。予算委員会で質問された時点で疑惑を持たれていることに気づき、その疑惑の火を完全に消すべきでした。
それなのに、「学園は教育理念が素晴らしいと妻から聞いている」などと発言した上に「自分や妻が関与していることが明らかになれば、首相も国会議員も辞める」などとキレ気味で答弁する様子は、危機管理がまったくできていないとしかいえません。国民の疑問や怒りの火に、油を注ぐようなものです。
官邸内にもくすぶる、安倍昭恵に対する不満
また、この問題が大きくなった理由のひとつには、官邸スタッフの中に長年くすぶっている、首相夫人の安倍昭恵氏に対する不満があるのではないか、と神澤は思っています。
内部から情報をリークしている人も、1人や2人ではないと見ています。これまでも、官邸スタッフが昭恵氏の危機管理能力のなさを嘆いている様子を見てきました。世間では「自由奔放」などといわれていますが、私たち秘書からいわせれば、ただの「お調子者」です。自分の発言の影響力をまったく考慮せず、いろいろなことを、その場のノリで約束してしまうのです。
首相夫人として初めて国家公務員が常駐スタッフとして置かれているのも、彼女の言動を制限するためでもあるのです。今まで、数々の大迷惑をスタッフや自民党にかけてきている昭恵氏ですから、今回はお灸をすえてやろう、と思った人たちがいても不思議ではありません。