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山田まさる「一緒に考えよう! 超PR的マーケティング講座」

イトーヨーカドー大井町店の食品売り場が大変貌…駅周辺「食の過剰供給」の懸念

文=山田まさる/インテグレートCOO、コムデックス代表取締役社長

イトーヨーカドー大井町店の食品売り場が大変貌…駅周辺「食の過剰供給」の懸念の画像2ロカボ・グルテンフリー

 事実、大井町駅周辺でいえば、阪急百貨店大井食品館がデパ地下的な中食を昔から展開している。駅ビルにはアトレ大井町があり、その1階には成城石井を含むフードとベーカリーのテナントが入っている。駅周辺のファーストフードやラーメンのチェーン店も入り混じって、食の激戦区の様相である。

 さて、実際にイトーヨーカドー大井町店はどう変わったのか。その中身を見てみよう。ちなみに、米国発祥のグローサラントを構成する要件は次の通りである。

(1)食材・素材へのこだわり、品質を強くアピール
人の健康はもとより、地球環境やフェアトレードなどへの取り組みも重要。
おいしさ以上に、その店の考え方や姿勢が問われている。

(2)併設のキッチンでの出来立て、つくり立て感
従来のスーパーのお惣菜では物足りない。本格的な調理、作り立てのおいしさが重要だ。こだわりや工夫、選ぶ楽しさが求められている。
 
(3)人気の外食店の看板を活用して集客力をあげる
外食で人気のテナントをフードコートに取り込む。

食の過剰供給に拍車

 生まれ変わったイトーヨーカドー大井町店をチェックしてみると、まず「Ooimachi-DINER」と命名された1階は、調理済み料理に焼き立てベーカリー、人気の外食チェーン店を組み合わせ、広々としたイートインスペースを備えている。惣菜売り場では、大型のテレビモニターで調理風景を映し出し、食材から揚げ油、調味料に至るまで品質にこだわる姿勢をアピール。ガラス越しに実際のキッチンも公開し、調理の様子を利用客に見せ、つくり立ての魅力で引き込もうとしている。

 品目と内容はというと、従来通りの「寿司」→「コロッケ、とんかつ」→「焼き鳥」→「天ぷら」とお惣菜ではお馴染みのラインナップが続くが、中身は改装前より質・量ともに充実を図っている。ただ、店で売っている食材をその場で調理するという、グローサラントのライブ感、出来立ての醍醐味が今ひとつ伝わってこない。

 一方で目を引くのは、スペースに余裕ができた地下1階の食品売り場である。もともと、イトーヨーカドー大井町店は、使い勝手が良く安心して買い物できる店だったが、正直、売り場は狭くて、少々古い印象もあった。それが今回の改装によって、売り場に余裕ができ、通路も広くなり、明るくなった。生鮮3品(野菜、肉、魚)はもちろん、加工食品も調味料も格段に棚が広くなり、品揃えが充実している。たとえば、冷凍食品からアイスクリームへと続く冷凍ケースの長さと大きさは、米国の食品スーパーを彷彿とさせる。スペースの余裕は、「低糖質」「グルテンフリー」「腸活」などの健康特化型の売り場や、お酒とおつまみの専用コーナーなどを生み出している。

山田まさる

山田まさる

株式会社インテグレートCOO、株式会社コムデックス代表取締役社長

1965年 大阪府生まれ。1988年 早稲田大学第一文学部卒業。1992年 株式会社コムデックス入社。1997年 常務取締役、2002年 取締役副社長就任。2003年 藤田康人(現・株式会社インテグレートCEO)とB2B2C戦略の立案に着手。2005年 食物繊維の新コンセプト「ファイバー・デトックス」を仕掛け、第2次ファイバー・ブームを巻き起こした。同キャンペーンは、日本PRアワードグランプリ・キャンペーン部門賞を受賞。2007年5月、IMC(Integrated Marketing Communication)を実践する日本初のプランニングブティックとして、株式会社インテグレートを設立、COOに就任。2008年 株式会社コムデックス 代表取締役社長に就任。同年「魚鱗癬」啓発活動にて日本PRアワードグランプリ・日常広報部門最優秀賞受賞。著書に『スープを売りたければ、パンを売れ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『統合知~“ややこしい問題”を解決するためのコミュニケーション~』(講談社)、『脱広告・超PR』(ダイヤモンド社)がある。


株式会社インテグレート

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