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武神健之「優良健康文化をつくるために」

本当に日本人は働きすぎなのか? 言ってはいけない、有休消化率が低い「本当の理由」

文=武神健之/医師、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事
本当に日本人は働きすぎなのか? 言ってはいけない、有休消化率が低い「本当の理由」の画像1「Gettyimages」より

 8月、夏休みの時期でした。安倍政権は働き方改革の一環として、2019年4月1日から毎年社員に5日間の有給休暇を取得させることを企業に義務化します。読者の皆様は、ちゃんと夏休みを取っていますでしょうか。

 政府は2015年に公表した「第4次男女共同参画基本計画」のなかで、「2020年までに、有給休暇の取得率を70%にする」という目標を掲げています。しかし、日本人の有給休暇取得率は、毎年50%前後で先進国のなかで最下位です。働き方改革にまつわる報道を読む限り、日本政府も個人も、この状態を「諸外国に比べて働き過ぎる日本人」「休みが取れない日本人」として認識はしているようです。しかし、本当に日本人は働き過ぎなのでしょうか? 今回は、日本人の休み方について、考察したいと思います。

年間の休み日はそれなりにある

 毎年各国の有給休暇取得率データを調査公表しているエクスペディア社によると、2017年12月に公表された最新の調査では、日本は世界30カ国中で有休消化率が2年連続で最下位でした。そして、日本人が有給休暇を取得しない(できない)理由としては、いざという時のためにとっておきたい、仕事が忙しい、同僚が休んでいないなどの理由が挙げられていました。

 理由はともかく、有給休暇を取得しない日本人は、それでは本当に、働き過ぎなのでしょうか。 

 私は決してそうとは思いません。私は、「本来の休み日=働かない日」とは、祝祭日(公休日)に有給休暇を加えたものだと考えます。

 日本には1年間に約16日の祝祭日があり、これは多くの先進国に比べ多く、1年間のなかで働かない日は、決して少なくありません。加えて、日本には休日と祝日に挟まれた「国民の祝日」もあります(祝祭日が土日と重なるか、振替休日となるかなど細かいことは除きます)。

 祝祭日数が年間20日間以上ある国は、カンボジア、スリランカ、インド等です。16-20日の国として、コロンビア、フィリピン、香港、中国、タイ、トルコなどの国々が並び、日本もここに入り、祝祭日の多さは世界では6-7位です。いわゆる先進国をみてみると、スウェーデン、イタリア、デンマークは11日、米国は10日、ドイツは9日、英国は8日です(実際には、このほかに州や地方政府などの定めるものが数日加わります)。

 実際の有給休暇とこの祝祭日を合わせて考えてみると、日本は年間の祝祭日16日と有給取得率50%(10/20日)で、年間合計26日の「休み日」となります。ですから、正確に言えば、日本人の有給休暇取得率は少ないが、年間の休み日はそれなりにあると言えるでしょう。

武神健之/医師、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事

武神健之/医師、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事

医学博士、産業医、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。20以上のグローバル企業等で年間1000件、通算1万件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を行い、働く人のココロとカラダの健康管理をサポートしている。著書に『職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書―上司のための「みる・きく・はなす」技術 』(きずな出版)、『不安やストレスに悩まされない人が身につけている7つの習慣 』(産学社)、共著に『産業医・労働安全衛生担当者のためのストレスチェック制度対策まるわかり』(中外医学社)などがある

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