8億円値引きの最大の根拠であった写真資料が、根拠に欠けるだけでなく偽造されていたことがわかってきた。偽造は「17枚写真資料」(財務省近畿財務局作成)だけでなく、「21枚写真資料」(国交省大阪航空局作成)に及べば、財務省と国土交通省をまたにかけた偽造といえる。政治の関与を疑う余地のない疑獄事件「森友ゲート事件」への発展は目の前に迫っている。本稿では、その入り口である「21枚写真資料」の検証に入る。
ようやく提出した21枚写真資料の欺瞞
森友学園への国有地払い下げをめぐる、昨年2月から3月にかけての国会論議において、提出された説明資料や「17枚写真資料」について前回記事で分析したが、土地を掘削して掘り出したとされる埋設ごみが、実際に学園用地から掘削したものかどうか、またその掘削深さが3m以深のものであったかどうかが確認できないという問題が、これまで指摘されてきた。
提出された「17枚写真資料」では、掘削穴の様子やその深さが3m以深であるか確認する術がなかったからである。それでは8億円値引きの根拠としては曖昧であり、根拠となる写真資料を提出するように小川敏夫参議院議員(立憲民主党)をはじめとする野党が求めていた。質問に答えて石井啓一国交相は、自分自身も写真資料で確認しているという発言があったという。ところが、そのような資料があるのならばすぐ提出してほしいという要望に対して、国はのらりくらりと回答を延ばし、その内に昨年の通常国会は終わってしまった。
そうしたなかで朝日新聞が昨年8月22日、「21枚写真資料」を業者サイドから入手し、「その写真からは穴の中は暗く確認できない」と1面トップで報道した。国が提出を遅らせていた資料を一新聞社が入手したことで、国は、「21枚写真資料」を国会にも提出した。
「21枚写真資料」は、国が実際に試掘した試掘穴の様子を提出するよう野党からの要望を受け、提出された資料である。数カ月かかって提出されたこの「21枚写真資料」では、確かに8カ所の掘削穴の様子が写っていたが、ここでも明らかな写真偽装があった。その点を、いくつかの写真資料を検証しながら確認したい。
ここで国は、21枚写真資料をつくるにあたって、掘削穴は8カ所掘ったと説明している。森友学園用地はA工区(校舎建設予定地)とB工区(グランド予定地)に分けられ、A工区は、No.1~No.3の3カ所。B工区は、No.4~No.8までの5カ所があり、合計8カ所の掘削穴があるとしている。それぞれの掘削穴とそこから掘りだした埋設ごみの山を写真に撮っている。場所によっては、掘削穴の様子を詳しく見るために2枚の写真が撮られているところもあり、写真は全部で写真No.1~写真No.21まで21枚がある。